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2020を目指すフェンサー・東晟良。
「まずはW杯、その次に東京五輪」 

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

PROFILE

photograph byAsami Enomoto

posted2018/10/02 17:00

2020を目指すフェンサー・東晟良。「まずはW杯、その次に東京五輪」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

高校卒業後は日体大へ進学。現在は姉と共同生活を送り、「母のありがたみをあらためて痛感しました(笑)」という。

最強のライバルはいつも姉・莉央。

 東は地元のフェンシングクラブ、和北ジュニアクラブで汗を流し、技を磨いた。中学前半までは練習が終了し帰宅した後も母の指導のもと、姉とともにさらなるトレーニングが待っていた。

 筋トレや素振り、剣を持って構えて突く動作を何度も繰り返して身に付けた。反復することでファイティング中でも自然と出るようになる。そう考えてのことだった。

 同じフルーレ選手の姉とは幼い頃から切磋琢磨し合いながら研鑽を積んだ。身近にいる最強のライバルの存在は、東にとっても、また姉にとっても、お互いの成長には欠かせないものだったに違いない。

「新しい技を習得できるのはいつも姉の方が先で、母に褒められるのもいつも姉で、私は注意されてばかりでした。母に褒めてもらいたくっていつも頑張ってたな~という記憶があります」

 銅メダルに輝いた今夏のアジア大会の女子フルーレ個人戦では、準々決勝で国内ランキング1位の宮脇花綸を15-7で破ってメダルを確定させると、メダルの色を懸けた準決勝では前回女王の韓国、全希淑と対決した。

「全選手には去年の世界選手権、アジア選手権、今年のアジア選手権と連敗中でした。彼女は五輪にも出場している韓国のベテランで実力の高い選手。簡単には勝てないということは分かっていましたが、これが彼女の引退試合になることも分かっていたので、“最後に絶対勝ちたい”という強い気持ちで臨んだんです。金メダルを取りたかったですね」

 全にはまたしても敗れてしまったが、3日後の女子フルーレ団体戦では、中国に35-34で勝利し、同大会同種目で日本勢初の金メダルを獲得し、個人戦の雪辱を果たした。

フランス人コーチの就任で成績が向上。

 女子フルーレ陣が近年、アジアや世界の舞台で結果を残している理由を、東はこう考えている。

 1つは2017年1月に就任したフランス人コーチ、フランク・ボアダン氏の指導方法だ。

「フランクがコーチに就任してから、海外の選手に勝てるようになったというか、戦い方も分かるようになってきました。それ以前は接近戦になると力負けをするというか、気持ちで疲れていたというか、負けていたというか……。

 コーチ就任当時からファイティング・スピリッツに関しては本当によくアドバイスされましたね。声の出し方1つをとってもそう。いろいろなことを教わりました。コーチと選手の間にしっかりと信頼関係が構築できていることが大きいと思います」

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東晟良

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