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バレー柳田将洋は強気で気負わず。
サッカー日本代表から学ぶ主将像。

posted2018/07/31 10:30

 
バレー柳田将洋は強気で気負わず。サッカー日本代表から学ぶ主将像。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

ロシアW杯で日本代表の主将を務めた長谷部誠の言動からは、多くのことを考えさせられたと話す。

text by

了戒美子

了戒美子Yoshiko Ryokai

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Kiichi Matsumoto

 ロシアW杯におけるサッカー日本代表の戦いは、ファンやサポーターを始め、普段サッカー観戦をしない人々まで、見るものの多くを虜にした。

 もちろん、トップアスリートたちだって例外ではない。バレーボール全日本男子の主将・柳田将洋もその1人だ。

「W杯ですか? 日本戦はほとんど見ていましたよ」

 声のトーンが一段上がり、どれだけ熱を帯びて観戦していたかが伝わる。

 ただ、当然ながらその見方、感じ方は一般人と同じではない。自身のSNSでも複数回にわたり発信しているが、9月に世界選手権を控えた日本代表として、そして就任してまだ数カ月の全日本男子の主将として、テレビ越しにロシアでの戦いを見つめた。

「しがみついていく」気持ちに共感。

 まず、多くを感じたのはグループリーグ第3戦のポーランド戦だったと言う。他会場と自分たちの状況から0-1の敗戦を選択した、物議をかもしたあの試合だ。

「自分たちは東京五輪を2年後に控えているんですが、彼らは4年前のブラジルW杯でグループリーグ敗退という結果を踏まえて、経験を積み重ねてきている。その時間の重みを考えると、ベスト16までもう少しという状況でのあの選択っていうのは、どれほどの覚悟だったのかと思いました。

 前回大会だけでなく、ベスト16から8に進めなかった前々回(2010年南アフリカW杯)からの流れがあると考えると、あの選択を“仕方ない”という言い方は意味が少しずれる気がします。それくらい(突破することに対して)必死で、誰に何を言われても、チームが1つになって進もうとしている姿を、僕はリスペクトして見ていました。なんとか先に行って欲しいと思っていました」

 4年前の悔しさを抱えて、それを乗り越えるべく戦うサッカー日本代表に時間の重みと選択の難しさを感じた。同時に、彼らが戦う姿を東京五輪を2年後に控えた自分たちに置き換えて考えずにはいられなかった。だからこそ、たとえ見苦しくても勝ち上がることを選択した彼らに、柳田は深く感じるものがあった。

「競技は違いますけど同じ日本代表として、ああいう展開でもしがみついて(突破する)というのはすごく(気持ちが)伝わってくるし、試合後のコメントを聞いてもすごく気持ちが伝わってきて。やはりそこが一番大事なんだなと思いました」

【次ページ】 4年ではなく一生に一度の大舞台。

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