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「野球人生、どうせあと数年ですよ」
西武・高橋朋己が探す完全復活の道。
posted2018/03/09 07:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
NIKKAN SPORTS
「ずっと“太く短く”が目標だと言ってきたんですけど、このまま辞めるのは、さすがに短すぎるよなぁって思いましたよ、アハハ」
リハビリ中を振り返り、高橋朋己は豪快に笑う。昨年までの2シーズンは故障とリハビリのため10試合の登板に留まったが、完全復活が近いことをその笑顔が物語っている。
春季キャンプでは、連日のブルペン入り。1日に30~50球を投じる。先発投手陣と比較すると少ない球数だが、その代わり、リリーフ登板を見据えて日にちを空けずに投げ込みを続けた。
実戦登板を想定した全力投球だ。
「春のキャンプは筋持久力をつける時期だと考えています。筋力はウェートトレーニングでつくけれど、それを、今度は投げるときにどう生かすかが大事なんです。そう考えると、こういった実戦を想定した投げ込みと、ウェートトレーニングとは別物。
この時期に投げるために必要な体力と筋力をアップして、シーズンに入ってからもずっと投げ続けることができる体を作りたいと考えています。たぶん、起用されるなら中継ぎだと思うので、連投もあると予測して練習しています」
手応えを感じているのか、キャンプでは高橋の明るく、開放的なキャラクターが一層、前面に出ていた印象だ。
チームの守護神からトミー・ジョン手術。
高橋は2014年、2015年と連続で60試合以上に登板し、2014年にはチーム最多の29セーブポイントを記録。クローザーとしてライオンズの数々の勝利に貢献してきた。
2016年は開幕を一軍で迎えたものの、高橋を待っていたのは利き腕である左ひじの張りだった。登録抹消のあと左肘内側側副靭帯の再建手術、通称トミー・ジョン手術を受けた。
靭帯の再建手術はリハビリ期間が長いことで知られている。
「焦りですか? うーん、そこまではないですね。手術してるんだから、まぁ仕方ないかって……。どうせ投げられないんだから、あまり考えても仕方ないという感じでした。ひじの状態を見ながら、投げられたら投げようっていうくらいの感じです」
あっけらかんと語った。