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金子千尋「マー君じゃないですけど」
オリのエースとして、負けない決意。

posted2018/01/06 11:30

 
金子千尋「マー君じゃないですけど」オリのエースとして、負けない決意。<Number Web> photograph by Kyodo News

若手投手が続々と台頭してきたとはいえ、福良監督が一番厚い信頼を寄せるのはエース金子千尋だ。

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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Kyodo News

 2017年のオリックスは、63勝79敗1分の4位に終わった。最下位だった2016年に比べれば順位も勝率も上がっているのだが、後味があまり変わらないのは、3位との差があまりに大きく、実質的にCS進出争いにならなかったからだろう。CS争いに敗れた4位というよりも、調子の上がらなかった北海道日本ハムや千葉ロッテが下にいてくれたという印象だ。

 また、シーズン序盤は優勝も期待させる快進撃だったため、そこから急降下しての4位は、前年からまったく浮上した気がしないのだ。

 2017年のオリックスの戦いは、4月以前とその後にハッキリ分けられる。4月は打線がつながり、投打もしっかり噛み合って2位につけていた。3、4月度の月間MVPに打のT-岡田、投の金子千尋が揃って選ばれたことがそれを象徴していた。

ロメロが負傷で離脱すると、大型連敗が続いた。

 ところが5月に入ると打線が不調に陥り、4連敗、6連敗、9連敗と大型連敗が続いた。5月は球団ワーストの6勝19敗に終わり、一時は8あった貯金を一気に使い果たし、逆に泥沼の借金生活に突入した。

 新外国人ステフェン・ロメロが勝負強い打撃でチームを牽引していたが、怪我による離脱が不調のきっかけだった。ロメロがどっしりと4番に座っていることで周りが伸び伸びとバットを振っていたが、その柱が抜けたことで周囲に余計な力が入り始めた。

 4月まで打率.351、7本塁打と好調だったT-岡田も、「自分が決めなければ」という意識が強すぎたせいか調子を落としてしまう。主軸として期待されていた2年目の吉田正尚は腰の故障で出遅れており、復帰は7月まで待たなければならなかった。投手が好投しても援護がなく、次第に投手陣も崩れ始めた。

 交流戦初日の5月30日にロメロが復帰し、連勝。そこから浮上するかと思われたが、狂った歯車は戻らなかった。その後もオリックスは大型連敗が多く、3位の背中は遠くなるばかりだった。

【次ページ】 金子にしては珍しく制球に苦しんだ1年だった。

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