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東浜巨は最多勝でも休んでられない。
ビーチに背を向けてハワイで特訓中。 

text by

田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byNaoya Sanuki

posted2017/12/24 08:00

東浜巨は最多勝でも休んでられない。ビーチに背を向けてハワイで特訓中。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

今季24試合に登板し16勝5敗、防御率2.64。エースとして1年間ローテーションを守り、チームを日本一に導いた。

自主トレは若手投手2人、捕手とともに汗を流す。

 今度は東浜がそれを示す立場なのではと問うと「僕にはまだ早いです」と制されてしまったが、ハワイ自主トレには松本裕樹や加治屋蓮といった若手ピッチャーと、今年一軍デビューを果たした21歳捕手の栗原陵矢もともに汗を流している。

「弟子入りとかではない。松本の方からお願いされたので、いいよ、と。僕自身プロに入って最初の3年間はファーム暮らしでした。二軍で最多勝を獲って、それから一軍に上がって上でもタイトルを獲ることが出来ました。いま二軍で頑張っている選手たちの励みになればいいと思います。もちろん、僕だってウカウカしていられません。それはチームにとってはプラスでしかないことですよね」

ドラフト1位・松本裕樹と東浜は境遇が似ている。

 特に松本裕は、東浜ととても境遇が似ている。

 盛岡大附属高校時代は150km近い快速球を投げていたが、高3の夏に肘を痛めてしまう。ホークスはそれを承知でドラフト1位指名し、1年目は全く試合に投げなかった。3年目だった今シーズンはようやく一軍で出番を増やし、一時先発もして15試合に登板。プロ初勝利を含む2勝を挙げたが、4敗、防御率4.78とパッとする成績ではなかった。

 球速は一時期よりも戻ってきたが、140km台中盤がやっとだ。

 東浜もそうだった。プロ1年目は140km前後のストレートしか投げられず、ピッチングには弱々しさが見えた。投球術はハイレベルだったが、プロで突き抜けるほど活躍するためには力で抑え込むことも必要だった。東浜は地道なトレーニングでそれを克服し、現在は最速150kmを超える。

 松本裕も投球術では、東浜に匹敵する能力の持ち主といわれる。これ以上ない手本となる先輩と過ごす時間は、何よりも財産となるだろう。

 ホークスの未来へ紡がれる常勝の系譜。築かれたチームの伝統がまた積み重ねられていくのを感じさせられた。

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