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新生なでしこ、米国で1勝もできず……。
あの猶本光が悔し涙に震えた日。

posted2017/08/10 17:00

 
新生なでしこ、米国で1勝もできず……。あの猶本光が悔し涙に震えた日。<Number Web> photograph by AFLO

なでしこらしいパスワークには、中盤のクオリティーが必須。その候補者である猶本は今回の悔しさから何を学ぶか。

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日々野真理

日々野真理Mari Hibino

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AFLO

 7月27日から8月3日、アメリカ西海岸で開催された「2017 Tournament of Nations」。初開催の今回は、開催国アメリカに加え、ブラジル、オーストラリア、そして日本の4カ国が参加した。

 女子W杯、五輪という世界大会のない年に、強豪国を集めて真剣勝負の大会を開催し、世界大会を勝ち抜くチームを作る。そんなアメリカの狙いもあって始まった同大会は8日間で3試合、シアトル、サンディエゴ、ロサンゼルスと1試合ごとに会場を替え、移動も伴う中で進められた。アメリカとしては注目されるプレッシャーがある中で、勝利するということを意識させるなど、個の強化のみならず、代表チームとして、いかに世界大会を勝ち抜くかという強化策も練られていた。

 この大会に臨んだなでしこジャパンは、新戦力が数多く招集された。高倉麻子監督は「新しい選手たちには、代表として自立してもらわないと困る。今しかできないことですし、選手を観察しながらチームを作っていきたい。勝ちたい思い、気持ちを表現できる選手が(代表に)残っていくと思います」と、試合ごとに選手の組み合わせを変えながら大会を戦った。

2敗1分けの戦績に指揮官は厳しい表情で振り返った。

 ただ初戦ブラジル戦は1-1の引き分け、続くオーストラリア戦は2-4、最終戦ではアメリカに0-3で敗れ、2敗1分けで大会を終えた。「経験を積ませる」ことは今大会の狙いではあったが、1勝もできずに大会を終えた。

 この結果を受けて指揮官は「これが現在地、すべてにおいてレベルアップしなければいけない。もちろん進んだ部分はあるけれど、まだインターナショナルマッチのレベルにない。チーム全員でしっかり受け止めて、戦えるようにならないといけない。この経験の中で、足りないと体感したことを、それぞれ取り組んでいってほしい」と厳しい表情で振り返った。

 今は新たなチーム作りの過程にあるが、来年には2019年開催のW杯に向けたアジア予選も控えるなど、時間も限られている。ここからは“経験を積ませる”という段階を経て、いよいよ“結果が出せるチーム”を作り上げることが求められてくる。

【次ページ】 '12年U-20W杯の中心メンバー、猶本が味わった悔しさ。

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