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大学野球“地方全盛”に新たな波。
岡山、四国、九州からエース発掘!
posted2017/06/10 07:00
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
NIKKAN SPORTS
全日本大学野球選手権(以下、大学選手権)が6月5日から開催され、1回戦で優勝候補筆頭の東洋大が敗退した。勝った東海大北海道キャンパスは昨年ドラフトでDeNAから2位指名された水野滉也を輩出しているので無名校というわけではない。ただ今年はスカウトから注目される選手が見当たらなかった中で、7対2で完勝を飾った。
それでも翌日の日刊スポーツは東洋大敗退を2行で報じるだけだった。昨年までの過去3大会、東都大学リーグ代表校の戦績は2勝3敗。今年は1回戦からの出場で、シード権すら与えられていない。東洋大の1回戦敗退はもはやニュースでもないのだろう。
東都大学リーグと東京六大学リーグが大学野球界の牽引車であったことは間違いない。しかし2014年には初戦(2回戦)で亜細亜大と慶応大が揃って敗退、翌'15年には専修大と早稲田大が準々決勝で対戦する異例の展開になった。この時は勝ち上がった早稲田大がその勢いに乗って優勝した。
東都と東京六大学の代表校が準々決勝で対戦するのを「異例」と書いたのは、それまで両リーグの代表校は決勝で対戦するという予測のもと、ほとんど別ブロックに配されてきたからだ。それが'16年も同じブロックに置かれ、亜細亜大は準々決勝で中京学院大に1対5、明治大は初戦の2回戦、関西国際大に1対2で敗れた。
昨年度の同大会では、中京学院大が初優勝した。
この結果を受けて“地方の時代”と叫ぶ声が聞こえてきそうだが、地方リーグ勢を見ても新しい波が押し寄せている。
普通、「地方リーグの雄」と言われるのは'13年に優勝した上武大が所属する関甲新大学リーグや、'14年優勝の東海大が牽引する首都大学リーグ、さらに近年上位に進出している東京新大学リーグ、仙台六大学リーグ勢などだが、最近は情勢に変化が見られる。
その象徴となったのが昨年度の同大会だ。静岡、岐阜、三重の3リーグを統括する東海地区大学リーグ代表校の中京学院大と、千葉県大学リーグ代表校の中央学院大が決勝で対戦。中京学院大が初優勝した。