球道雑記BACK NUMBER
2年生右腕・杉山晃基が154キロ投球!
明治神宮大会に3年ぶり出場の創価大。
posted2017/11/06 08:00
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
NIKKAN SPORTS
あれからもう1年が経つのか……。
その場に居合わせた者達が、時の流れの早さを感じていたに違いない。
2016年10月31日、横浜市長杯(関東地区大学野球選手権)2回戦。
昨年のプロ野球ドラフト会議で、共に1位指名が5球団重複した創価大学・田中正義と、桜美林大学・佐々木千隼の対決は、多くの報道陣の注目を集め、試合後のベンチ裏は各社の記者やカメラでごった返していた。
この試合、創価大学の岸雅司監督は次の世代を託す1年生をベンチに忍ばせていた。
小孫竜二、杉山晃基、望月大希の3人。創価大学の次世代を担う期待の右腕たちだ。
「色んな意味で(試合を)しっかり見させようと思ってね」
そこから1年が過ぎた。
創価大学は東京新大学野球の秋季リーグを制し、昨年に続き、今年も横浜市長杯に駒を進めた。昨年と一転して、今年は指で数えるほどしかいない報道陣。岸監督は少し感慨深げにこう話した。
「正義が昨年の今日負けているんだよ。佐々木君と投げ合ってね。だからみんなに言ったの。正義がずいぶんあのとき悔しい想いをしただろうって。我々もそうだけどね。それを明日晴らそうと……」
その言葉に応えるように、あのときベンチから先輩の勇姿を見ていた後輩がこの日、羽ばたいた。
この8月に、154キロを投げたという噂の2年生投手。
岸監督が忍ばせていた創価大学の2年生が凄いという噂は、風の便りで届いていた。
中でも特に衝撃を受けたのが、今年、主戦を任されている杉山晃基が8月のオープン戦で154キロを投げたという噂だった。
事の真意を確かめようと、東京新大学野球の秋季リーグ開幕戦に行ってみることにした。
2017年9月1日、大田スタジアム。
前日の予定だった開幕戦は雨でこの日に仕切り直しになっていた。
「あれが杉山くんか……」と彼の姿を確認して、しばし、背番号16の姿をスタンドから凝視する。身長180㎝、体重77㎏。スリムな体型に、長い手足が特徴的だ。