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不運で負けたのではない、実力だ。
U-20の敗戦を東京五輪への「薪」に。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byTsutomu Takasu

posted2017/05/31 11:25

不運で負けたのではない、実力だ。U-20の敗戦を東京五輪への「薪」に。<Number Web> photograph by Tsutomu Takasu

U-20日本代表は、優勝候補ベネズエラを相手に互角以上の戦いを見せた。それだけに、再び顔を出した「いつもの課題」は重たいものだった。

何度もフリーでヘディングを許し、修正できず。

 ゴールに結びついてもおかしくない場面があったのは間違いない。だとすれば、日本はなぜ勝利に手が届かなかったのか。

 ディティールの違いが浮かび上がっていった、と言える。決定的なシュートシーンを得点に結びつけられなかったのも、ゲームの細部の一項目だ。

 延長後半の108分に喫した失点は、183cmのヤンヘル・エレーラをマークしきれなかったことによるものだった。ただ、マンチェスター・シティからMLSのニューヨークシティにレンタルされているベネズエラのキャプテンには、19分と66分にもフリーでヘディングシュートを許している。

 ベネズエラのリスタートに、日本はマンツーマンで対応した。「個」と「個」のマッチアップだけに、直接的なマーカーに責任があるのは事実だ。それでも、チームとして修正できなかったのだろうか。失点以前に迎えた2度のピンチを、未来への警告にできなかったことが悔やまれる。

プレーのスピードが上がる局面で出たミス。

 流れの中に埋没している場面にも、指摘されるべきディティールがある。

 この試合で日本は、ファウルスローを繰り返した。たった数回の小さなミスだとしても、それによって攻撃の権利を手放しているのは看過できない。オランダ人のビョルン・クイパーズ主審の判定基準に、ベネズエラの選手たちは無理なく適応していただけに、である。

 見落とせない場面は、115分にもあった。敵陣左サイドのスローインを、堂安が素早くピッチへ入れる。左サイドバックの杉岡大暉がワンタッチで堂安へ戻したのだが、タッチラインを割ってしまったのだ。

 1点のビハインドを背負い、残り時間はあとわずかである。すぐにでもゲームを再開したいのは分かる。だからこそ、なおざりにしてはいけないプレーだったはずだ。

 試合後の内山篤監督は、「ここでスピードが上がるという動きながらのオン(ザボールのプレー)で、一番ミスが出てしまった」と話した。ベネズエラより休養が1日短いフィジカルコンディションにありながら、日本は最後まで力を振り絞った。内山監督も積極的に選手を入れ替え、流れを引き寄せようとした。それでも勝利をつかめなかったのは、運やツキに恵まれなかったからではない。ベネズエラにあって日本にないものが、確かにあったからだ。

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