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プレミア恒例の監督解任ラッシュ。
3月以降の交代、降格回避率は? 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2017/03/28 11:30

プレミア恒例の監督解任ラッシュ。3月以降の交代、降格回避率は?<Number Web> photograph by Getty Images

岡崎のスタメン復帰で流れを取り戻したシェイクスピア体制のレスター。監督交代がカンフル剤となった典型的な例だ。

主力入れ替えよりも、監督の挿げ替えの方が簡単。

 それでも、シーズン中の悪しき“ラッシュアワー”はなくならない。前述の2014-15シーズンにしても、最終的にはクリスマス以降に計6名の監督がクラブを去った。「来季プレミアへの終電を逃してしまったら……」とでもいうような、経営陣が抱える降格への恐れ。その恐怖心は、巨額の収入を確約する放映権料の上昇と共に高まり続けている。

 監督人事を判断するフロントには、投資への見返りを求めるビジネス感覚の外国人が増えているが、彼らに言わせれば、期待外れとみなした管理職との契約解消はビジネス界の常識だ。

 しかもサッカー界では、冬の移籍市場での主力の大幅な入れ替えに比べれば、監督1人の交代ははるかに実行しやすい。

 解雇に踏み切ることで、「クラブは事態改善に行動を起こしている」と外部にアピールすることもできる。経営陣にとっては監督批判よりも厄介な、クラブ批判を回避する現実的な策なのだ。プレミア勢のフロント陣が、シーズン中の監督人事を禁じる動きに賛同するとは思えない。

ラニエリ解任バッシングも、1カ月足らずで鎮静化。

 何より、首の挿げ替えに成功した場合のインパクトは絶大で、そのイメージも強烈だ。当初は解任に否定的だったはずのメディアにも、その成果を「大脱出」、「奇跡」などと劇的に報じられる。

 昨季も、途中で「残留請負人」ことサム・アラダイス(現クリスタルパレス)を新監督に迎えたサンダーランドが、ホーム最終戦での降格回避を果たすと優勝でもしたかのように沸いたばかり。その2シーズン前には、最下位でクリスタルパレスを引き継いだトニー・ピューリス(現ウェストブロムウィッチ)が、降格回避どころか11位という成績を残してプレミア年間最優秀監督賞に輝いた。

 そして今季も2月までにボトム3、または降格圏外ギリギリの17位で監督交代に踏み切ったクリスタルパレス、スウォンジー、ハル、レスターが揃って順位を上げている。中でもレスターはプレミアで5連敗からの3連勝で15位に浮上し、CLでも第2レグでセビージャを下して8強入り。昨季優勝監督に対する「あるまじき非礼」として非難を浴びたクラウディオ・ラニエリ解任は、1カ月足らずで完全に過去に封印された感がある。

【次ページ】 新体制になって、昨季のレスタースタイルが復活。

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