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同じピッチでこそ感じる脅威がある。
対戦相手が語る久保建英の“チラ見”。
posted2017/02/21 07:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
分かりやすい結果は残せなかった。
実はそれこそが、久保建英が秘めるポテンシャルを示している。
2月18日に行なわれたU-18Jリーグ選抜対日本高校サッカー選抜に、久保はフル出場した。前半は4-4-2の2システムで2トップの一角を担い、後半は2列目の右サイドに立ち位置をかえ、1月の高校選手権で上位へ進出した有力校の選手たちと対峙した。
公式記録に残るプレーは、シュート1本だけである。35分ハーフのゲームで前半に1点、後半にも3点を喫する展開では、両チームを通じて最年少の中学3年生にできることは多くない。あくまでも、記録上は。
対峙した高校3年生が戸惑った、中3の「視線」。
同じピッチでしか感じられない脅威がある。
前半8分だった。久保がドリブルで持ち出す。すぐにひとりがアプローチし、さらにもうひとりが身体を寄せる。自分よりサイズのあるふたりに挟み込まれながら、久保はハンドオフで自分の間合いを確保し、ボールを運んでいった。
「身体を入れてもうまくすり抜けたりするので、久保くんに先にボールに触られないように、監督からガツガツいって怯ませるように言われていました。でも、なかなかいけない部分がありました」
日本高校サッカー選抜のセンターバックを担った阿部海大は、そう言って表情に戸惑いを滲ませた。久保より14センチ高い181センチの新3年生は、昨年3月にも話題の中学生と対戦している。阿部は東福岡高校の選手で、久保はU-17日本代表の一員だった。
「久保くんは身体がまだそんなに強くないので、今日も当たったら勝てるという感じはありました。ただ、ボールが入る前に周りをチラチラ見るので、こっちも突っ込みにくかったです。その視線のコースを切ると、逆を突かれることもあったので。それもあって、ガツガツいききれなかったのはあります」