酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
甲子園に出て東大へ行く、は可能か。
流行は文武両道ならぬ文武“別”道。
posted2017/02/19 11:30
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
昨年暮れ、所用で東京大学駒場キャンパスに2日ほど通った。関西の私大卒の私にとって、東大は初めてだ。いい年をしているから警備員の人が会釈してくれたりしたが、アウェー感が半端なかった。
ひょっとしたら顔つきとか素振りで偏差値が低いのがばれないかと、ついつい早足になったものだ。どこへ行っても何か「ごめんなさい」と謝りたいような衝動に駆られた。
キャンパスで、取材でお目にかかったことのある小林至さん(元ロッテ、現・江戸川大学教授)を見つけて、ほっとした。
言うまでもないが、小林さんは大したものだ。東大に合格したうえに、プロ野球にまで進んだのだ。まさに「文武両道」。自己管理能力は、私なんかには想像できないくらい高いのだろう。
日本人はこの「文武両道」が好きだ。一芸に秀でるだけでも大変なのに、そのうえ勉強だってできる。でも、「文武両道」って本当に存在するのか? 野球ではそういうすごい人を輩出する学校って本当にあるのか?
東大合格者数上位高は、野球ではどうなのか。
そこで東京大学と京都大学の合格上位10高校の、夏の甲子園の地方大会の最高戦績を調べてみることにした。
まず東京大学。
開成 [私・東京] 169人 地方5回戦(甲子園0回)
筑波大附駒場 [国・東京] 102人 地方4回戦(甲子園0回)
灘 [私・兵庫] 94人 地方準々決勝(甲子園0回)
麻布 [私・東京] 94人 地方決勝(甲子園0回)
渋谷教育学園幕張 [私・千葉] 76人 地方5回戦(甲子園0回)
聖光学院 [私・神奈川] 71人 硬式野球部なし
桜蔭 [私・東京] 59人 女子高
栄光学園 [私・神奈川] 57人 硬式野球部なし
駒場東邦 [私・東京] 57人 硬式野球部なし
東京学芸大附 [国・東京] 57人 地方準々決勝(甲子園0回)