涌井、石川、佐々木……ローテ争いは熾烈を極める。

　社会人出身選手にとって、プロは育ててもらう場ではない。ただ結果だけが求められる世界。その重圧が己の投球を見失わせた。

　だからこそ関谷は、来る2017年のシーズンに向けて緊褌一番の気構えを示している。

「今年は（ローテーションの構想から）外れているかもしれません。西野さんも先発で来るし、涌井さん、石川さん、ジェイソン（スタンリッジ）、（唐川）侑己さんがいて、二木もいる。そこにドラフトで獲った佐々木くんや酒居くん、（大嶺）祐太さんや古谷さんも加わるわけですから、そう考えると相当厳しい競争になると思います。そこを勝ち抜くために、自分に厳しくやっていきたいです」

　充実する投手陣の中で自信があるのか、ないのかと問われたら、彼は「ない」と答えるかもしれない。されど自信がないからこそ、日々の努力を積み上げる。それも1つのやり方である。

昨季のセ最多勝、広島・野村に弟子入りした。

　そのアプローチを徹底したのは、昨年の秋季キャンプだった。

「プロに入って、ここまで追い込むかってところまでやりましたね。（体力的には）相当きつかったです」

　シーズン中は、試合日に合わせて調整するのがやっとの状態だった。さらなるレベルアップを図るには秋季キャンプのタイミングしかなかったのである。1クール4日間のうち3日はブルペンに入ると、毎回100球前後を放った。投げる体力をつけると共に、自分に足りない技術を体に染み込ませた。

　秋季キャンプで取り組んだことを継続させ、さらに進化させる。自主トレの場所に母校の明治大学を選び、昨年のセ・リーグ最多勝投手、最高勝率の二冠を達成した広島東洋カープの野村祐輔と練習に励んだ。

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