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獲得賞金ゼロの元天才ゴルフ少年も。
QTという過酷な生存競争に密着。

posted2016/12/16 11:00

 
獲得賞金ゼロの元天才ゴルフ少年も。QTという過酷な生存競争に密着。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

QTのリーダーボードはクラブハウス内にある2台のPCで確認する。そこには来季出場権を争うゴルファーが集まる。

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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Yoichi Katsuragawa

 松山英樹がバハマでのタイガー・ウッズ主催大会で躍進を遂げた頃。

 池田勇太が待望の日本ツアー賞金王に輝いた頃。

 寒風の吹き付ける12月上旬、三重県のゴルフ場では極限の緊張感に包まれた戦いが繰り広げられていた。

 日本男子ツアーのファイナルQT(クォリファイングトーナメント)は、来年度のシード権を持たない選手たちによる、出場権を争う試合。学生や下部ツアー上がりの若手や、海を渡ってきた外国人、シードを喪失したベテランらによる翌年の職場の奪い合いだ。

 8月に始まる1次予選会から成績順にカットアウトされ、2次、3次を経て、この最終予選会は4次にあたる。

 1次に参加した選手は約1500人。この12月まで生き残ったのは197人。通常のストロークプレーのトーナメントは4日間72ホールで行われるが、最終QTは6日間108ホールにも及ぶ。この厳しいサバイバルレースで上位35位までに入ると、ようやくシーズン前半戦数試合の出場権獲得のチャンスがひろがる。

松山英樹の録画中継が流れるというコントラスト。

 場内にギャラリーは入場できない。だから仕切りのロープもない。最終日は同じゴルフ場にある別コースで一般客がプレーしていた。プロの興行はファンあってのもの、と定義づければ、それを覆すものになる(もちろんメディアを通じた報道はあるが)。

 クラブハウス内のレストラン。大型テレビには、バハマで世界ランカーたちをなぎ倒す最終日の松山の姿が録画中継されていた。世界最高峰の舞台と、大多数のプロゴルファーの現実とが、妙なコントラストとして際立っていた。

【次ページ】 約1500人のQT戦士の頂点に立ったのは20歳の有望株。

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