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「日本は激しくプレスすれば……」
アジアの対策にU-16も屈した現実。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byAFLO

posted2016/10/05 11:00

「日本は激しくプレスすれば……」アジアの対策にU-16も屈した現実。<Number Web> photograph by AFLO

このチームが見せた攻撃力は圧倒的だった。ただ“上手くいかない時間帯”をやり過ごす力が足りないのは、日本の全世代に共通する課題にも映る。

英才教育を施されたアジア各国の選手が育む自信。

 アジア各国は日本と異なり、特定の選手に集中をして英才教育を施すことが多いため、この年代で活躍をした選手がそのままA代表として早々にデビューしたり、国の中軸を担うケースが多い。特に日本が敗れたイラクを始め、UAE、イラン、ウズベキスタンはその傾向が強い。

 育成年代から日本に対して、確固たるイメージを持っている選手がそのまま成長をして行くのだから、苦手意識や過剰なリスペクトが無いことは自明の理だろう。だからこそ、彼らはイメージを持ち続けたままで戦いに挑んでくる。

 例えば、ロシアワールドカップアジア最終予選・初戦のUAE戦での逆転負けがそれを物語っている。さらに言うと、今年1月のAFC U-23選手権でもイラクは主軸メンバーがいない中、日本を最後まで苦しめた。アディショナルタイムにMF原川力の劇的なゴールで勝利とリオ五輪出場権を掴んだが、どちらに転んでもおかしくない試合だった。

“策で逃げる”より、自分達の力を磨く必要性。

「やっぱりハイプレスやグラウンドコンディションの悪い中でも揺るぎない技術やテクニック、判断スピードが必要。A代表や五輪代表はある程度、“策で逃げる”という手もある。しかし、まだ15、6歳の年代でそういうやり方をするより、もっと自分達の力で何とかするという方向にベクトルを向けないといけない。理想と現実で言うと、まだ理想の方に近くに居ないといけない。選手として太くするには、チャレンジをして行かないといけない部分。激しいプレッシャーの中でも冷静に判断して打開をしたり、グループで打開出来る質を持っていないといけない。そのためには普段の練習や試合で、激しいボールの攻防で個人戦術を発揮出来る環境にしなければいけない」

 森山監督がこう提言するように、育成年代から一層“激しさ”と“冷静さ”を求められるゲームを数多く経験出来る環境にしなければいけない。

【次ページ】 今月開幕のU-19選手権で日本は中東勢と対戦する。

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森山佳郎

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