話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
リーグ9連敗、窮地の湘南スタイル。
降格危機の今こそ愚直さを思い出せ。
posted2016/09/17 07:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
試合が終わって1時間以上経っても湘南ベルマーレの選手たちは、ミックスゾーンに現れなかった――。
第11節、湘南はFC東京に0-3で完敗。9連敗を喫し、2ndステ-ジはこれで1勝10敗の最下位。年間順位は17位でJ2自動降格圏内にドップリとはまり、J1残留ラインの15位の甲府とは勝ち点差8のまま。残り6試合、J1残留はかなり厳しくなってきた。
今シ-ズンは開幕から苦戦が予想されていた。昨年、「湘南スタイル」を浸透させ、年間8位にチ-ムを導いたメンバーの内、主将のMF永木亮太(→鹿島)、DF遠藤航(→浦和)、GK秋元陽太(→FC東京)、MF古林将太(→名古屋)ら主力がごっそりと抜けた。中小規模のクラブでは優秀な選手を引き抜かれるのは致し方ないこと。当然、選手補強はしたが代表クラスの選手が抜けた穴は簡単には埋められず、チョウ・キジェ監督の続投だけが救いだった。
センターラインがごっそり抜けたチームの悪影響。
開幕後、センターラインが抜けたチームは安定せず、失点が増え、第9節の横浜F・マリノス戦まで勝てなかった。やっていること、求められているものは昨年と変わらないが、選手が違うのでなかなかスムーズにいかない。
たとえば、永木は中盤でボールを取り切る力があった。奪って、そのまま前につけて素早く攻撃するパターンからチャンスやゴールが生まれていた。だが、ボランチの石川俊輝らは永木とはスタイルが違うので、昨年のパターンが通用しなくなった。決定機を決められないこともあって得点力はガタ落ちし、完封負けした試合はカップ戦を含めると計9試合にもなった。それでも1stステージのラスト4試合は7ゴ-ルを奪い、2勝2分で乗り切った。
その結果を受けて2ndステ-ジは「湘南、復活か」と期待が大きく膨らんだ。だが、第3節の鳥栖戦から第5節の仙台戦まで守備を固めてくる相手から1点も取れずに3試合連続で完封負け。つづく川崎、浦和と前に出てくるチ-ムと打ち合ったが地力の差で敗れた。