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全仏オープン支えるロンジンの誇り。
テニスを通して世界の子供達に夢を!
~ファン・C・カペリ副社長の提言~
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byLONGINES
posted2016/06/10 11:30
フューチャーテニスエースでのトーナメント抽選会場にて。左から2人目がカペリ副社長。続いて、S・グラフ、A・サンチェス。
単にテニスが強くなれば良い、という支援はしていない。
〈卒業生〉たちがこうしてジュニア界で活躍し、さらにはプロになり、トップへと駆け上がっていくことがロンジンとしても何よりのやりがいだろうと思いきや、カペリ氏からは少し意外な答えが返ってきた。
「もちろんそれは実に喜ばしいことです。今年の全仏オープンのジュニアの部でも過去にフューチャーエースに出場していた選手がプレーしているのを見ましたし、10年後に全仏オープンに出場するような選手が出てくれば最高です。ですが、このプログラムを通じて子供たちにもっとも期待していることは、同世代の選手と交流し、フェアプレーの精神やお互いに対する敬意を学ぶということです。また、各国のトップ選手と交わることで忍耐を育み、それが子供たちの成長やスポーツの振興につながることを期待しています。
様々な国や文化が異なるジュニアが集い、言葉が通じなくてもテニスという共通のツールを通してコミュニケーションをはかることはできます。コートの上ではライバルであり、全力で戦いますが、プログラムの最後のディナーでは、すっかり仲良くなった子供たちの明るい笑い声を聞くことができるのです。それは非常にうれしいことで、若い世代がこのように、ともに学び合う機会を提供できることが私たちの希望です」
世界の子どもたちの未来を、テニスを通して豊かに。
子供たちの交流でふと思い出したことは、近年盛んになっている、国際大会間ですぐれたボールキッズを派遣し合う〈インターナショナル・ボールキッズ・エクスチェンジ・プログラム〉と呼ばれるシステムだ。
ローランギャロスにもチャイナ・オープンやオーストラリアン・オープンから派遣された子供たちが、世界最高の赤土の上を懸命に駆け回った。彼らは決してプレーヤーとしてのエリートではない。しかし、世界トップクラスの試合をサポートする立場の人間の1人としての経験は、彼らのこれからの人生にどれほど豊富な選択肢をもたらし、困難も掻き分けていく力を与えるだろう。他国の文化に触れ、文化も言語も異なる友人を作ることで、10代の瑞々しい感性はどれほど刺激されることだろう――。