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名将ポポビッチがカリーを見事封印。
本気を出すと強い、スパーズの豪胆。 

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長澤壮太郎

長澤壮太郎Sotaro Nagasawa

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photograph byNBAE via Getty Images

posted2016/04/06 11:00

名将ポポビッチがカリーを見事封印。本気を出すと強い、スパーズの豪胆。<Number Web> photograph by NBAE via Getty Images

ウォリアーズ戦で、ティム・ダンカンに指示を出すグレッグ・ポポビッチHC。

20年間の決まりごとを破り、見事に勝利したスパーズ。

 スパーズは、ウォリアーズを今季最低の79得点に抑え勝利しました。

 驚いたのは、スパーズが勝ったことではありません。ポポビッチが、レギュラーシーズンであるにもかかわらず、全力でコーチングしていたという事実でした。

 ポポビッチが相手に対して特別な策を打ち、手の内を見せながら全力で試合に臨むのはプレイオフからというのが、自他共に認める決まりごとです。3月の時点で、特別な対策なんて絶対に見せない、基本的なバスケットをして負けたとしてもそれでいいと、ほぼ20年間そうしてきた名将が、超本気モードでカリー対策をぶつけてきたのです。

 選手達も複雑なディフェンスシステムを披露、パーカー、ジノビリ、ミルズ、グリーン、レナードが徹底的にカリーをマーク。時にはオールコートでピックアップし、スクリーンは徹底してオールスイッチ。ビッグマンのオルドリッジ、ダンカン、ディアウもマークマンを完全に捨ててショウアップでカリーにプレッシャーを掛け、3Pを封じ込めました。

 その結果、カリーは4Qでは全く点を取らせてもらえませんでした。カリーの相方トンプソンにも執拗なディフェンスを徹底し、ガード2人のシュートを38本中11本のみの成功に抑えました。

あの名将が……全力でウォリアーズを倒しにいった!

 ポポビッチは、スプラッシュ・ブラザーズの3Pを殺すことによって、3Pチームであるウォリアーズを2Pチームに引き下げることに成功しました。2P勝負であれば、得失点平均はスパーズが上です。自分達の土俵で勝負することができたのです。

 オフェンスでは、オルドリッジ、ディアウのポストアップを多用し、ウォリアーズのスモールラインアップの弱みを徹底的に突きました。

 ただ、この試合のウォリアーズは、状況的に不利ではありました。ビッグマンのボガットとイジリ、昨年のファイナルMVPのイグダラも怪我で欠場。スケジュールもアウェイでの連戦で疲労もピークだったはずです。

 しかし、それでも名将は全力でウォリアーズを倒しに行きました。これには2つの意味があると言えます。

【次ページ】 超人的なカリーが普通の人間に見えた瞬間。

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