スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
イチローと過去の40代選手。
3000本安打達成の可能性は!?
posted2016/03/26 11:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
大リーグの春季トレーニングも終盤に差しかかってきたが、つい最近、日本の新聞に心和む写真が一葉、掲載されていた。
今年30球団中最年長の野手となったイチローが、オマー・ビスケルと談笑しているショットだ。
1967年生まれのビスケルは、現在、デトロイト・タイガースの一塁コーチを務めている。というよりも、彼は非常に息の長い遊撃手だった。大リーグでの現役活動期間は24年。'89年にマリナーズで大リーグに昇格し、インディアンス在籍中にはオールスターに3度出場した。ゴールドグラヴも3球団で合計11回受賞。2006年にジャイアンツで受賞したときは39歳だったが、これは遊撃手の受賞としては史上最年長に当たる。
ビスケルは、2012年シーズンの最年長野手(当時45歳)だった。この年は最年長投手のジェイミー・モイヤー(当時49歳)がもっぱら注目を集めていたが、45歳を超える現役野手が出たのは、フリオ・フランコ('07年に49歳で引退)以来のことだ。
数少ない野手の「ロングラン・クラブ」。
大リーグの高齢選手を列記すると、どうしても投手が眼につく。59歳まで投げた怪物サッチェル・ペイジは例外としても、古くはジャック・クイン(1933年に50歳で引退)やホイト・ウィルヘルム('72年に49歳で引退)がいた。わりと最近でも、フィル・ニークロ('87年に48歳で引退)、ノーラン・ライアン('93年に46歳で引退)、ランディ・ジョンソン('09年に46歳で引退)など、球史に名を残した大投手の顔がつぎつぎと思い出される。
それにひきかえ、野手は少ない。
チャーリー・オリアリーやミニー・ミノソの場合は、58歳や54歳でプレーしたといってもほんの数試合だけだった。実質的には、37~38歳で現役を退いている。キャップ・アンソンやヒューイー・ジェニングスは、大リーグ草創期の選手なので、環境がちがいすぎる。1980年代以降、45歳になってもプレーした野手というと、先述のフランコやビスケル以外には、あのピート・ローズ('86年に45歳で引退)しか思い当たらない。
イチローは、その「ロングラン・クラブ」に加わろうとしている。