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グアルディオラが最後に狙うのはCL。
理想からリアリズムに舵を切った!?
 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byGetty Images

posted2016/01/27 10:40

グアルディオラが最後に狙うのはCL。理想からリアリズムに舵を切った!?<Number Web> photograph by Getty Images

今季限りでバイエルンを去ることが決まっているグアルディオラは、プレミア行きが取り沙汰されている。

ノイアーに「蹴っていいぞ」と伝える意味。

 ハンブルク戦の途中に、こんなシーンがあった。GKノイアーが相手のハイプレスを受け、それでもつなごうとして危うくボールを取られそうになった。

 するとペップがライン際から、ジェスチャーでこう伝えた。

「前に蹴っていいぞ!」

 次にプレスをかけられたとき、ノイアーはパスコースを探しながらも、いいコースがないと見ると、迷わず前線にロングキックを送り込んだ。ペップはライン際から親指を立てて「いいぞ」というメッセージを送った。

 ペップがポゼッションの大切さを訴え続けてきたからこそ、ノイアーはここまでパスをつなげるGKになったのだが、思考停止になっては逆効果だ。ポゼッションの呪縛に囚われてはならない。リスクとチャレンジの黄金比を見出せる選手が、最高のフットボーラーである。

 今年最初の記者会見で、ペップはこう語った。

「私がここで何を成し遂げたかは、今季の最後の試合のあとに、人々が考えればいい。私がやりたいのは、私の視点を通して選手のサッカーへの理解を促し、成長を助けることだ。おそらく私が去るとき、選手たちは何かしらの成長を遂げているはずである。もちろんCL優勝に挑む。しかし私が最も意識を傾けるのは選手たちだ」

 美しく、かつ泥臭く――。ポゼッションの呪縛から解放され、理想と現実の最高のバランスを見つけられれば、バイエルンはブンデスリーガ史上初の4連覇のみならず、欧州の頂点に登ることができるはずだ。

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