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ようやく現われた“速い”日本人、
佐々木歩夢がマルケスを超える日。 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2016/01/03 10:40

ようやく現われた“速い”日本人、佐々木歩夢がマルケスを超える日。<Number Web> photograph by Satoshi Endo

アジア・タレントカップでチャンピオンに輝いた佐々木は、マレーシアGPのプレスカンファレンスでGPライダーたちの祝福を受けた。

高校には進学せず、プロライダーを目指す。

 すでに来季のニューチャレンジを待ちきれない様子だ。

 来春、中学を卒業する佐々木は、高校に進学せずプロライダーを目指す。ルーキーズカップはグランプリを運営統括するドルナ・スポーツのスカラシップ。レプソル選手権はホンダのサポートを受けての参戦で、契約金をもらってという段階ではないが、これまでとは違って、100%レースに集中する生活となる。

 父親は元GPライダーの佐々木慎也さん。その血を受け継いだのだろう。これまでのレースキャリアは順風満帆で、あっけないほどに伸び盛りの15歳だ。

「小学校に入ったころはスノボーをやっていたんですけどね、小学4年生のときにおじいちゃんがポケバイを買ってくれたのでポケバイに乗り始めて、4年と5年はポケバイ。6年でミニバイク。中1でロードレースの地方戦に出場。中2でアジア・タレントカップ。そして、今年はアジア・タレントカップとルーキーズカップに出場しました」

 ポケバイ、ミニバイクでは連戦連勝の快進撃。ロードレースに転向した中学1年生のときも、敵なし。筑波サーキットでは出場したレースをすべて制し、ツインリンクもてぎでは雨のレースで1回だけ転倒するも、そのほかは全勝と佐々木歩夢の名前は知れ渡ることになる。その非凡な走りが認められてアジア・タレントカップに選ばれた。

大人顔負けのレース運び。

 才能ある走りは、そのレース展開にも現れる。

 レース終盤までライバルたちの走りを観察して、終盤にスパートを掛ける。15歳にして「勝つレース」をするところが憎い。しかし、同じバイク、同じタイヤというワンメークレースだけに、作戦通りにいかないことも多く、最後の最後に勝てるレースを落とすこともある。

 そんな佐々木に周囲の大人たちは「どうして最初から行かないんだ」と苦言を呈する。

 そんな言葉に対して佐々木は、こう語ってくれた。

「いまはスタートが下手なので、どうしても序盤に遅れてしまう。で、トップグループに追いつくまでは全力で行くけど、追いついたら、ああ、今日は勝てるなと思っちゃう。そこで周りを見ちゃうから……。だから来年は、スタートを決めて、最初からガツーンと行ってスピードを見せたい」

【次ページ】 “さん”付けは、自分より速いライダーだけ。

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