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バイエルンに大敗はむしろ好都合?
ドルトムントの王座奪還は長期計画。

posted2015/10/05 16:00

 
バイエルンに大敗はむしろ好都合?ドルトムントの王座奪還は長期計画。<Number Web> photograph by AFLO

バイエルンに惨敗したドルトムントと香川真司。しかし、彼らの復活への道は始まったばかりなのだ。

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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 大方の予想をくつがえす結末を迎えたからこそ、未来を感じさせる試合となった。

 最近では「ドイツのクラシコ」と呼ばれ、今回も207カ国で放映されたバイエルンとドルトムントの一戦は、ともにリーグ戦で無敗を続けているなかでの対戦となった。それゆえにベッケンバウアーも試合前にスコアをこう予想していた。

「2-2だね」

 しかし――。

「1-3とされた時点で勝負は決まってしまった」

 そう試合後にドルトムントのトゥヘル監督が振り返ったように、後半開始から1分もたたない時点でレバンドフスキにゴールを許したことで、今季最大の注目のカードはあっさりと終わりを告げた。

 そこから44分間は、世界中から人を引き寄せるミュンヘンの最大のお祭り「オクトバーフェスト」のエピローグだった。

1-5。

 ここまでの点差をつけられてドルトムントがリーグ戦で敗戦を喫したのは、2009年9月以来。そのときも相手はバイエルンで、同じく1-5のスコアだった。

 かくしてバイエルンは、8試合を終えた時点で2位と7点もの勝ち点差をつけた、ブンデスリーガ史上初めてのチームとなった。昨季2位のヴォルフスブルクはアシスト王デブライネの抜けた穴を、同じく3位だったボルシアMGはボランチのクラマーとFWクルーゼというセンターラインの2人が抜けた穴を埋め切れていない。

 ブンデスリーガ史上はじめてとなる4連覇をバイエルンが達成することも、一気に現実味を帯びてきた。

上位との成績と、下位との成績を比べると……?

 なぜ、8試合を終えた時点でバイエルンの4連覇が現実味を帯びてきたと言えるのか。そして、この試合でドルトムントがしかけた“奇策”を、バイエルンがいとも簡単に粉砕できたのか。そのヒントとなる面白いデータがある。

 昨シーズンのリーグでの上位6チームによる直接対決の10試合だけにしぼると、その順位は以下のようになる。

1位  ヴォルフスブルク  勝ち点16
2位  ボルシアMG  勝ち点14
3位  アウクスブルク  勝ち点14
4位  レバークーゼン  勝ち点14
5位  シャルケ  勝ち点13
6位  バイエルン  勝ち点12
(※2位から4位までは得失点差によるもの)

それに対して、上位6チームの、7位以下のチームとの対戦24試合の成績はこうだ。

1位  バイエルン  勝ち点67
2位  ヴォルフスブルク  勝ち点53
3位  ボルシアMG  勝ち点52
4位  レバークーゼン  勝ち点47
5位  シャルケ  勝ち点35
6位  アウクスブルク  勝ち点35
(※5位と6位の差は得失点差によるもの)

 ここに、バイエルンの特長がはっきり表れている。

【次ページ】 下位相手に圧倒的に強いバイエルンが優勝最右翼。

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