SCORE CARDBACK NUMBER

巡業担当の親方が語る夏巡業倍増への軌跡。
~地方での触れ合いで人気復活!~ 

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

PROFILE

photograph byKYODO

posted2015/07/11 10:30

巡業担当の親方が語る夏巡業倍増への軌跡。~地方での触れ合いで人気復活!~<Number Web> photograph by KYODO

6月の小松巡業で子どもに稽古をつける地元出身の遠藤。この日は6000人が来場した。

 満員御礼の垂れ幕が下がり、本場所ではチケット入手が困難なほどに、その人気が復活している大相撲。興行の世界では、主要都市だけでなく「各地方の津々浦々で人を集めてこそが本物の人気」といわれるそうだ。

 大相撲の巡業は、春・夏・秋・冬の年4回。来たる名古屋場所後の夏巡業は、主に東北・北海道・信越地方を巡回するもので、今年度の予定は17カ所20日間を数える。昨夏の巡業日数は9日間で、実に倍以上に増えているのだ。巡業部に所属する担当親方たち11名は、契約や準備に東奔西走する毎日で、うれしい悲鳴をあげている。そのひとり、千田川親方(元小結闘牙)が現状を説明してくれた。

「通常は、開催日の1年ほど前に勧進元から申し込みを受け、準備してもらい、6カ月前に本契約を結びます。しかし、今年は今の段階ですでに来年度の10月・秋巡業まで埋まってしまいました。12月の冬巡業もほとんどが決まり、再来年の29年度まで待っていただいている状況なんですよ」

4年前の開催目標は20カ所だったが、今年度は59カ所に!

 思い起こせば、八百長問題などの数々の不祥事が明るみに出て、各勧進元が、続々と巡業開催を中止したのは、わずか4年前の2011年のこと。当時の担当親方たちは「お詫び行脚」に回る。白紙に近い巡業スケジュール表を目にし、失った信頼を取り戻すべく、さらに新規の勧進元を開拓すべく頭を下げ続けた。「来年は、せめて“年間”20カ所の開催を目指そう」と、精一杯の目標を掲げていたのだという。しかし今年度は全59カ所での開催が決定し、来夏の巡業だけでも今夏の17カ所を上回る日程が組まれる盛況ぶりだ。

 若貴を立役者とした、あの'90年代の大相撲人気が、今再び到来している。自身も現役時代、目まぐるしく巡業地を回り、当時の人気を肌で知る千田川親方が、振り返る。

「あの頃は、本場所後1週間の休みを終えた翌日から巡業に出て、翌場所の番付発表前日まで各地をみっちりと回り、本場所を迎えていました。それが本来の大相撲巡業なんですよね」

 巡業先で稽古を積み、地元のファンと触れ合う。各地の名産をたらふく食べ、その土地の空気を、水を知る。そして力士たちは「大相撲の原点」を改めて知る。

関連コラム

関連キーワード
千田川

ページトップ