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アルペンの女王。
~W杯最多勝利、リンゼイ・ボン~ 

text by

小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byAFLO

posted2015/02/25 10:10

アルペンの女王。~W杯最多勝利、リンゼイ・ボン~<Number Web> photograph by AFLO

リンゼイ・ボンは2歳でスキーをはじめ、W杯で初優勝を挙げたのは20歳の時。そこから10年での偉業達成となった。

 スキーシーズンたけなわの中、アルペンの女子ワールドカップで歴史的な記録が達成された。ヒザの靱帯断裂から約2年ぶりに復帰した第一人者、リンゼイ・ボン(米国)が、1月19日のスーパー大回転で優勝、W杯通算63勝となって、アンネマリー・モザー=プレル(オーストリア)の記録を抜いて歴代1位になったのである。これは、野球でいえばピート・ローズの通算安打4256本を更新するとか、バスケットボールでいえばカリーム・アブドゥル=ジャバーの通算3万8387点を破るといった偉業に相当する。

 プレルが記録を作ったのは1969年から1980年にかけてのこと。この記録をボンは35年ぶりに更新したのである。ボンの記録がプレルとひとつ違うのは、ボンはアルペンが5種目の時代に記録を作ったのに対して、プレルの時代は4種目だったことだ。W杯では1983年に初めてスーパー大回転が行なわれ、そこからアルペンは5種目という時代が始まった。スピード系の種目が「滑降、スーパー大回転」、技術系の種目が「大回転、回転」、そして滑降と回転を組み合わせた「複合」という、現在の5種目である。

男子のステンマルクが樹立した86勝に迫る可能性も。

 別表に示した歴代勝利数トップ5の中で、4種目の時代の選手でランクインしているのはプレルだけだ。その事実を考慮すれば彼女がいかにずば抜けた選手だったか分かる。デビューした時にはすでに5種目の時代だったボンのほうが、勝利のチャンスが多かったことは間違いない。この意味では2人を同等に比較することはできない。だがボンの場合、1月25日のスーパー大回転でも勝利を挙げてすでに通算64勝になっており、今季の残り試合でまだ勝利を増やす可能性がある。さらには現在30歳という年齢を考えると、来季も勝利を積み重ねるものと思われる。

 男女を通じてW杯の最多勝記録は'70年代から'80年代にかけて活躍したインゲマル・ステンマルク(スウェーデン)の86勝だが、ボンはこの記録にも迫る可能性を秘めていると言っていい。こうした可能性も含めて考えると、彼女を歴代最高のアルペン女子選手と認定してもよさそうだ。

【次ページ】 滑降、スーパー大回転の「スピード系」で際立つ強さ。

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