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怒濤の1年を経た遠藤。密かに重ねた努力は実るか。
~“45勝45敗”からの逆襲へ~ 

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

PROFILE

photograph byToshifusa Shigihara

posted2015/01/10 10:30

今年の目標について遠藤は「勝ち星を先行させて、三役を目指す」と一層の飛躍を誓った。

今年の目標について遠藤は「勝ち星を先行させて、三役を目指す」と一層の飛躍を誓った。

 45勝45敗。2014年の遠藤の成績は、白星と黒星の数が綺麗に並んだ。「ある意味すごいですね。数字通り、よくも悪くもない1年でした」と、冬巡業の支度部屋で、ほっとした笑顔を見せる遠藤がいた。

 1年納めの11月、九州場所を後半8連勝の10勝5敗で終えたことには、自身も手応えを感じていたようだ。「今までのように、前半がよくても後半失速するパターンじゃなかったですよね。いろいろな流れを経験できた1年でした」とその表情は明るかった。

 '14年の初場所では11勝で初の三賞を受賞するものの、3月は6勝9敗で負け越し。5月は初金星を獲得するも、7勝8敗で再び負け越す。7月の名古屋場所では、初めて7勝7敗で千秋楽を迎え、ぎりぎりでの勝ち越しを決めた。9月場所では前頭筆頭で3勝12敗と、これもまた初めて、二桁黒星の洗礼を受けた。

テレビ出演の声にも「出られるような力士じゃない」。

 思い起こせば、'13年9月に新入幕するや、「ザンバラ髪のイケメン力士」として一躍“時の人”に。己のあずかり知らぬところで過熱する、土俵外での人気。話題が先行し、自分の実力が伴わないことに、密かに忸怩たる想いを抱いていた。ときに取り囲む報道陣を前に貝になり、笑顔を封印、とりつくしまもなかった遠藤の姿を思い出す。24歳、やっとまげを結えたばかりの若武者に対し、周囲の期待度は高かったものだ。しかし、怪物逸ノ城の出現で、“マスコミ台風”の中心は、遠藤から次第に逸れていった――。

「自分に何が足りないかって、それこそ解説の皆さんが言ってる通りじゃないですか(笑)」

 今、いたずらっ子のような表情を見せて笑う。その相撲の巧さには定評があるが、幕内平均体重が160kgを超えるなかでの、148kgの体。立ち合いの圧力が足りないことは、周囲に指摘されるまでもなく、自身が肌で感じていた。朝夕にどんぶり3杯ずつの白米、さらに夜食でラーメンなどの炭水化物も摂り、密かに体重増加を目指してもいる。

 年末年始は多くのテレビ出演の声が掛かったが、そのことごとくを辞退した。

「出られるような力士じゃないですから」

 一力士として経験を積んだ怒濤の1年。矜恃を内に秘めながら、2015年、遠藤はやっと大銀杏が結える。

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