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100m11秒台、走幅跳7m、やり投69m。
十種競技・右代啓祐の師匠は武井壮!? 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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posted2014/09/26 10:30

100m11秒台、走幅跳7m、やり投69m。十種競技・右代啓祐の師匠は武井壮!?<Number Web> photograph by AFLO

瞬発力、パワー、スピード、持久力の全てを要求される十種競技は「キング・オブ・スポーツ」と呼ばれる。右代啓祐が挑むのは、世界最高の身体能力を競うフィールドなのだ。

 196cm、95kgの巨体は、一見、重量級の格闘家を思わせる。ベンチプレスでMAX180kgを挙げる桁外れの筋力。だがフィールドに立つと、彼が陸上競技の選手であることはすぐに分かる。

 走り高跳び2m06、走り幅跳び7m45、そして棒高跳びで5mを跳ぶ。男子十種競技で今年、8308点の日本新記録を出した右代啓祐(28歳・スズキ浜松AC)は、いま、日本で最高の「身体能力」を持つアスリートだ。そして、日本の陸上競技史上、この種目で初めて誕生した、ワールドクラスの選手だと言える。

「キング・オブ・アスリート」――アスリートの王様。

 十種競技の金メダリストはそう呼ばれる。女子の七種競技なら「クイーン・オブ・アスリート」。欧州ではこの種目の人気が高く、欧州の選手が金メダリストになると大スターになる。ロンドン五輪で十種競技の金メダリストは米国人選手だったが、女子の七種競技は開催国・英国のジェシカ・エニスが優勝、エニスはアディダス、オメガをはじめ欧州の企業7社の広告に出演する人気アスリートになっている。

末續慎吾の世界銅、高野進の五輪決勝進出に並ぶ快挙へ。

 日本の選手は、オリンピックでは1920年のアントワープ五輪からこの競技に出場しているが、100年近い歴史の中で、最高順位は12位。第2次世界大戦後に限れば、15位が最高だ。つまりこの競技は、男子100mなどと同様、8位以内の入賞がそのまま世界の一流選手を意味する競技だと言える。

 ロンドン五輪の8位が8219点だったから、右代の8308点は、日本の十種競技の選手として、初めて8位入賞を狙えるレベルの記録だ。

 今年の目標はアジア大会(陸上競技は9月27日から)の金メダル。今季のランキングで見ていくと、右代の記録はアジアの中ではずば抜けているから、順当なら金メダルは獲れるだろう。

 そして来年の北京世界選手権、再来年のリオデジャネイロ五輪で8位入賞を果たせば、それは近年、日本の男子短距離が成し得た快挙――2003年パリ世界選手権200mにおける末續慎吾の銅メダル、1992年バルセロナ五輪400mにおける高野進の決勝進出(8位)に匹敵する出来事だと言ってよい。

【次ページ】 常識を超越した右代の身体能力を証明する記録たち。

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