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100m11秒台、走幅跳7m、やり投69m。
十種競技・右代啓祐の師匠は武井壮!? 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byAFLO

posted2014/09/26 10:30

100m11秒台、走幅跳7m、やり投69m。十種競技・右代啓祐の師匠は武井壮!?<Number Web> photograph by AFLO

瞬発力、パワー、スピード、持久力の全てを要求される十種競技は「キング・オブ・スポーツ」と呼ばれる。右代啓祐が挑むのは、世界最高の身体能力を競うフィールドなのだ。

196cm、95kgの体を十分に使い切るために。

 196cm、95kgという体格の右代は、パワーには恵まれている。課題はやはりスピードだった。つまりは100m、400mの短距離種目だ。

 右代はこの体格で、マット運動をやれば、きれいな倒立ができるし、後方宙返りもできる。大きな体を自在に操ることができるから、棒高跳びなどで、自在な動きができる。

 だが短距離の走りになると、どうしても力任せの走りになっていた。技術的には、速い選手のフォームを真似て走っていたという。しかし、記録は伸びなかった。しかし、昨季終了後、体幹トレーニングの専門家から教えを受けたことで、力任せの走りが改善されたという。走りの中で、力を入れるタイミングが分かったのだと語っている。

 その結果、今年は100mでも400mでも自己ベストが出た。

右代の練習を変えた武井壮の言葉。

 人並み外れた身体能力を持ちながら、最近の右代は、考えるアスリートとしての側面が、ますます表に出てきている。ツイッター上での彼の言葉にも、そのような面がしばしば出ている。

「そもそもスランプなんてものはないんだと思う。自分が正しい事ができてるか、できていないのかが問題」

「そのために自分をコントロールするための『説明書』みたいなものを作る作業を常に心がけなくてはいけない」

「やりたい練習とやるべき練習。この選択重要な気がする」

 右代が「考えるアスリート」になっていくきっかけを与えたのは、今ではタレントとしてすっかり有名になった十種競技の元日本選手権優勝者、武井壮だったと言える。武井は、右代にとって文字通り「師匠」の1人である。数年前、日本陸連の混成競技合宿で、臨時コーチをやっていた武井から、右代は次のように言われたことが、いまでも頭に残っているという。

「競技だけやっていても強くならないぞ」

 昨季終了後、体幹トレーニングの専門家に話を聞きに行ったのも、武井のこの言葉が頭にあったからだという。

【次ページ】 十種もの競技を、2日間かけて行なう競技方式。

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