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バドミントン男子団体はなぜ世界一になれたのか。
~11年間の強化、育成改革が結実~ 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2014/06/16 10:00

バドミントン男子団体はなぜ世界一になれたのか。~11年間の強化、育成改革が結実~<Number Web> photograph by AFLO

協会は五輪メダルに匹敵する報奨金として男子に1000万円、女子に500万円の贈呈を検討。

 5月25日まで行なわれていたバドミントン男子の団体世界一決定戦、トマス杯で、日本が初優勝を遂げた。準決勝では6連覇を狙っていた大本命の中国を破り、決勝でもマレーシアを撃破。中国をはじめとする強豪国の壁の高さを考えても、まぎれもない快挙である。だがそれはまぐれではない。11年に渡る長期的な積み重ねがあったからこそだ。

 転機となったのは男女を通じて1勝しかできなかった2004年のアテネ五輪だった。大会後、抜本的な改革が必要と考えた日本バドミントン協会は韓国から指導者を迎えることを決めた。その人こそ、現在も監督を務める朴柱奉氏である。朴氏はバルセロナ五輪金メダルをはじめ国際大会で67度優勝、「ダブルスの神様」とも称された名選手である。

 来日した朴氏はこう指摘した。「合宿が少なすぎる」。所属企業単位で動きがちだった状況に切り込み、垣根を取り払った。アテネ五輪前の代表合宿は2度だったが、今では年中行なわれている。

“フジカキ”のロンドン銀に続く快挙にも気を引き締めて。

 また、代表選手たちをグレードが上の国際大会へ出場させるように推し進め、トップレベルを体感させるとともに、若い世代の育成も図ってきた。例えば、入社が内定している高校生の日本リーグ参戦を認め、有望な中高校生をナショナルチームとともに練習させたのだ。それらの根底にあるのは、高いレベルを知ることで目的意識が高まるという考え方だ。

 成果は着実に表れた。'08年の北京五輪で末綱聡子と前田美順組がベスト4入りを果たし、ロンドン五輪では藤井瑞希と垣岩令佳組が銀メダルを獲得。オリンピックに限らず、世界選手権でもメダル獲得は珍しくなくなった。今回、男子の世界一とともに、女子もユーバー杯で33年ぶりに決勝に進出したことも、日本バドミントン界の今日を示している。

 改革後の育成によって出てきたホープであり、トマス杯でも5試合全勝だった19歳の桃田賢斗は言う。

「(中国とのシングルスの試合も)負ける気はしませんでした」

 一方、日本男子のエース田児賢一は気を引き締める。

「うれしいですけど、もっと上を目指さないといけないと痛感しました」

 先を見据えた強化で躍進したからこそ、この先がさらに楽しみだ。

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