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大型補強の陰で着実に進む育成路線。
ソフトバンクの“生え抜き”抜擢論。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNanae Suzuki

posted2014/05/10 10:50

大型補強の陰で着実に進む育成路線。ソフトバンクの“生え抜き”抜擢論。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

昨年ゴールデングラブ賞を獲得したソフトバンク・今宮健太。川崎宗則が2012年にメジャーに移って以降、堅守のショートとしてスタメンに定着した。俊足であり、投手経験者として送球の正確さも持ち合わせる。

岩嵜、武田ら生え抜きの若手をどう育てるか。

 生え抜きの若手投手がいないわけではない。ここまで名前が挙がらなかった中では岩嵜翔、武田翔太が抜擢の機会をうかがっている。武田は新人年の'12年、8勝1敗、防御率1.07の好成績で脚光を浴びるが、2年目の昨年は4勝4敗、防御率3.48と成績を落とした。

 与四球68は三嶋一輝(DeNA)に次ぐ12球団ワースト2位。三嶋は146回3分の1を投げて79与四球だから率にすれば4.86、それに対して武田は93回で68個だから与四球率は6.58と圧倒的に悪い。

 成績下降の原因は、軸足に体重が残りすぎることによるヘッドアップと左肩上がりとわかっている。これをどのように説明して、どのようなフォーム矯正に導いていくのか、ファームコーチングの技量が問われるところである。

大学生、社会人の希望枠制度以降に入った選手の活躍度は。

 武田、岩嵜、東浜巨に新人の森唯斗などを含めた若手がどの時点で現在の主力と入れ替わるのか興味深いが、現在、パ・リーグ全球団には若手を抜擢する機運がみなぎっている。

 大学生、社会人が入りたい球団を選べる「希望枠制度」が撤廃されたのが'07年。ここから'13年までの7年間に入団した選手でチームの戦力になったのはセ・リーグ23人に対して、パ・リーグは37人と圧倒している。この新人抜擢の機運が交流戦でのパ・リーグ優位('05~'13年の9年間で優勝チームはパ8回、セ1回、通算成績はパの733勝660敗、勝率.526)につながっていることはあえて言うまでもない。過去7年間の成功選手をポジション別に分けてみた(浅村の一塁などポジションを若干動かしている)。

●パ・リーグ
(捕)伊藤光、大野奨太 [先発投手] [リリーフ]
(一)浅村栄斗 西勇輝、牧田和久 比嘉幹貴
(二)西川遥輝、内村賢介 唐川侑己、十亀剣 佐藤達也
(三)鈴木大地 攝津正 西野勇士
(遊)今宮健太、安達了一 大谷翔平 益田直也
(左)清田育宏、岡島豪郎 辛島航 松永昂大
(中)岡田幸文、秋山翔吾、聖澤諒 美馬学 岩嵜翔
(右)中村晃、荻野貴司、柳田悠岐 則本昂大 嘉弥真新也
(指)中田翔 野上亮磨 宮西尚生
  菊池雄星 増井浩俊
●セ・リーグ *は予備軍
(捕)中村悠平 [先発投手] [リリーフ]
(一)*筒香嘉智 野村祐輔 今村猛
(二)菊池涼介 赤川克紀 山本哲哉
(三)堂林翔太 八木亮祐 久古健太郎
(遊)山田哲人 小川泰弘 田島慎二
(左)荒波翔 澤村拓一 榎田大樹
(中)大島洋平 菅野智之  
(右)長野久義 大野雄大  
(指)丸佳浩 加賀繁  
  井納翔一  
  藤浪晋太郎  


【次ページ】 主力投手は軒並み30代、世代交代が待たれる。

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