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五輪史に残る大接戦。
~0.003秒差に、同タイムまで~ 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byNaoya Sanuki/JMPA

posted2014/03/21 10:40

五輪史に残る大接戦。~0.003秒差に、同タイムまで~<Number Web> photograph by Naoya Sanuki/JMPA

スピードスケート男子500mはオランダ勢が表彰台を独占した。スメーケンを0.01秒上回り金メダルに輝いたミシェル・ムルデル。

 冬季五輪の競技は、雪や氷の上で行なわれるため、夏季五輪の競技より、スピードの速いものが多い。陸上競技の短距離よりスピードスケートのほうが速いし、マラソンよりクロスカントリースキーのほうが速い。アルペンの滑降では、最高速度が時速130kmを超える。こういったスピードの中で、冬季五輪ではしばしば僅差の勝負が展開される。ソチ五輪でも、いくつか歴史に残る大接戦の金メダル争いがあった。

 まず日本の加藤条治と長島圭一郎が5位、6位に入ったスピードスケートの男子500mだ。500mは2本滑った合計タイムで競うため、勝負を決めるまでには1000mを滑っているわけだが、金メダルのミシェル・ムルデル(オランダ)と銀メダルのヨハンネス・スメーケン(オランダ)は0.01秒差だった。公式タイムは69秒31と69秒32。距離にして約14cmの差に過ぎなかった。

 男子1500mはさらに、100分の1秒でも決着しなかった。金メダルのズビグニェフ・ブロトカ(ポーランド)は1分45秒006、銀メダルのクーン・フェルバイ(オランダ)は1分45秒009だった。わずかに0.003秒の差。距離にして約4cmだった。

クロスカントリー男子複合30kmは0.4秒差での決着。

 長い距離と長い時間をかけたうえ、わずかの差で決着した競技といえば、クロスカントリーの男子複合30kmだった。複合は前半15kmがクラシカル走法、後半15kmはフリー走法。フリー走法の中盤まで先頭集団は15人ほどいたが、そこから4人が抜け出して、最終的にはマラソンでいう「競技場勝負」となった。ダリオ・コローニャ(スイス)がリードしたものの、マルクス・ヘルナー(スウェーデン)も追走、2人とも1時間8分15秒、わずかに0.4秒差でコローニャの金メダル、ヘルナーの銀メダルとなった。

●ソチ五輪・大接戦の金メダル、銀メダル
競技
種目
選手名 (国) タイム
アルペン
男子滑降
金 M・マイヤー(オーストリア)
銀 C・インネルホファー(イタリア)
2分06秒23
2分06秒29
アルペン
女子滑降
金 T・マゼ(スロベニア)
金 D・ギザン(スイス)
1分41秒57
1分41秒57
クロスカントリー
男子複合30km
金 D・コローニャ(スイス)
銀 M・ヘルナー(スウェーデン)
1時間08分15秒4  
1時間08分15秒8  
Sスケート
男子500m
金 M・ムルデル(オランダ)
銀 J・スメーケン(オランダ)
69秒31
69秒32
Sスケート
男子1000m
金 S・フロータイス(オランダ)
銀 D・モリソン(カナダ)
1分08秒39
1分08秒43
Sスケート
男子1500m
金 Z・ブロトカ(ポーランド)
銀 K・フェルバイ(オランダ)
1分45秒006
1分45秒009
Sトラック
男子1000m
金 V・アン(ロシア)
銀 V・グリゴリエフ(ロシア)
1分25秒325
1分25秒399

 そして僅差の勝負といえば、やはりアルペンだ。今回も、最初に行なわれた男子滑降の1位と2位が、いきなり0.06秒差だった。男子のコースは3495m。これだけ滑ってきて0.06秒差だったわけだが、このレースは2位と3位も0.04秒差。つまり1位から3位までが、ちょうど0.1秒差だった。

 しかし今回のソチ五輪では、女子滑降で、ついに究極の勝負があった。冬季五輪史上、アルペンでは初の同着金メダルである。

【次ページ】 スピードスケートとアルペンで計測方法は違う。

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