SCORE CARDBACK NUMBER

春場所を荒らすのは、
超新星か技能派大関か。
~遠藤と鶴竜、それぞれの現在地~ 

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

PROFILE

photograph byKYODO

posted2014/03/13 16:30

春場所を荒らすのは、超新星か技能派大関か。~遠藤と鶴竜、それぞれの現在地~<Number Web> photograph by KYODO

「荒れる春場所」といわれ、思いがけず波乱の展開が繰り広げられることが多い、3月の大阪場所。話題の中心は、前頭筆頭に躍り出た遠藤だ。プロ入り後1年を迎え、場所前に師匠から出稽古解禁を申し渡された。初の出稽古の相手は、今場所綱取りの声が掛かる鶴竜だった。

「立ち合いが全然違います。40番取ってやっと1番勝てるくらい。得意の左四つにすらなれなくて、自信無くなりました(笑)。でも、この経験をせずに本場所を迎えていたら、もっと訳わかんない状態になっていたと思いますから」

 そう苦笑する端正なマスクは、真っ赤に擦りむいた傷だらけ。連日、出稽古に赴き、白鵬からも“洗礼”を受けた。「顔がボロボロで……。治る暇がないんですよ。この成果を本場所で少しでも見せられれば。初めて上位陣と総当たりするので、やり残したことのないように場所に臨みたいです。ひとつでも多くいい相撲を取りたい。最初から負けることを考えてはいない。荒れる春場所の主役になれるよう、頑張ります」

“洗礼場所”に挑む遠藤、綱取り場所に挑む鶴竜。

 遠藤はこう力強く語っていたが、角界内でも、この超新星の“洗礼場所”について侃々諤々だ。「勝ち越しできれば上々だ」「いや、初顔合わせとしてのビギナーズラックは多い。一発勝負に強い学生出身でもあり、二桁は勝てるだろう」などと喧しい。

 一方、「13勝以上の優勝」が綱取りの条件とされる鶴竜。先の1月場所では、稀勢の里の綱取り挑戦が早々に潰え、代わって存在感を示したのが鶴竜だった。14勝1敗で迎えた優勝決定戦では白鵬に惜敗。大関としてはや2年の月日が経ち、そろそろ初の賜杯を胸に抱きたいところだ。

 大関昇進時から、技能派横綱としてならした初代若乃花のビデオを見て研究し、気づいたことやヒントを、相撲ノートに書き留めていたという。技能賞7回受賞の業師ながら、大関昇進後は、立ち合いの圧力とスピードを磨く地道な努力を重ねてきた。先場所後からは、ジムでの筋トレを週3回に増やし、密かな決意を胸にして綱取り場所に挑む。いつでも「ポーカーフェイス」の鶴竜のその素顔は、真面目でクレバー。浪速の地で、笑顔満開の花を咲かせられるか。

関連コラム

関連キーワード
遠藤
鶴竜
稀勢の里

ページトップ