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松山英樹は棄権、石川遼は予選落ち。
それでも2人の未来は「バラ色」だ。 

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舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph byAP/AFLO

posted2014/03/04 10:50

松山英樹は棄権、石川遼は予選落ち。それでも2人の未来は「バラ色」だ。<Number Web> photograph by AP/AFLO

今季はすでに来季のシード権をほぼ手中にしている石川遼。ホンダ・クラシックでは予選落ちに終わったが、内容的にも昨年よりも大きく成長していることは明白だ。

3度の棄権を上回る、1年目松山の成績。

 ホンダ・クラシック2日目のスタート前に松山が棄権したことを報じた日本の記事の多くは「松山、また棄権」という具合に「アゲイン」が強調されていた。松山の棄権が短期間のうちに続いているのは事実だ。今季の米ツアーだけを見ても10月のシュライナーズホスピタル・オープンは疲労性胃炎のため初日のスタート直前に棄権、11月のHSBC選手権は背中痛のため2日目に棄権、そして今回は3度目の棄権となった。

 だが、無理を押して試合に出続け、実は「試合を休むのが怖かった」と振り返った昨季の石川を思えば、2度3度と続いてもひるまず棄権した松山の思い切りの良さは、それはそれで評価に値する。

 戦績を見れば、今季わずか6試合で賞金とフェデックスカップポイントを効率良く稼ぎ、自らが目標に掲げた450ポイントに迫る446ポイントをすでに獲得。石川同様、来季シード獲得は目前だ。そんな松山のスピード出世こそが「序盤からよく頑張ったね」と褒められるべきものなのに、「3度も棄権」のほうが大きく取り沙汰されてしまうのは気の毒な話だ。

ゴルフでの、びっくりするような度胸と勇気。

 米ツアーの難しさや大変さの現実をまだよく知らないという意味で、今季の松山には昨季の石川のように負のスパイラルに陥ってしまう危険性が無いとは言えない。だが、松山には入ってくる情報を大胆に取捨選択する思い切りの良さもある。

 難解なグリーンに直面すると、あれこれ悩むのではなく、「あのグリーンはみんな難しいから放っておけばいいです」と突き放す。英語はわかるようになったか、同組選手とコミュニケーションは取れているかと問われれば、「会話しているふりをしています」と真顔で言い放つ。

 ああ見えて、素顔はデリケートでシャイなのだが、ゴルフにおいてはびっくりするような度胸を見せ、勇気を振り絞る。そんな松山の良さ、彼の目を見張るような進歩や成績は、3度の棄権を優に上回る大善戦だ。

 ホンダ・クラシックのウィークエンドに石川と松山の姿が無かったことは淋しかった。けれど、2人の現状を悲観したり、落胆したりする必要はない。厳しい米ツアーの序盤戦で彼らは善戦している。善戦できている。彼らの未来は前途洋々、可能性は無限大だ。

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