フットボール“新語録”BACK NUMBER
「ペップは常に選手を楽しませる」
バイエルンの“面白い”練習の秘密。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAFLO
posted2014/03/03 10:50
練習を指揮するグアルディオラ監督。リーグ最大のライバルであるドルトムントのクロップに「同じリーグにいることが不運だ」と言わせるほど、圧倒的な力を見せ付けている。
「ペップは選手を楽しませることを忘れない。これほど練習がおもしろい監督は初めてだ」
フランク・リベリー(バイエルン・ミュンヘン)
ペップ・グアルディオラ率いるバイエルン・ミュンヘンが、異次元の領域に足を踏み入れようとしている。
ブンデスリーガでは2位に勝ち点19の差をつけて首位を独走し(22節終了時点)、CLでも決勝トーナメント1回戦の1stレグでアーセナルに2-0で快勝した。ドイツ杯でもベスト4に進出している。
グアルディオラは「最も大切なのはブンデスリーガのタイトル」と地に足をつけて戦う重要性を説いているが、CL連覇の現実味も増してきた。ハインケスが率いていた昨季は、格上相手(たとえばバルセロナ)には守備的な戦い方で挑んだが、今季はどんな相手でも敵陣に押し込める圧倒的な攻撃力がある。
バイエルン、秘密の練習メニューの一部を紹介
いったいグアルディオラはどんな練習をしているのだろう?
普段、バイエルンの練習はほとんど非公開で、公開されるのは試合翌日のクールダウンといった当たり障りのない日ばかりだ。戦術練習を見たかったら、夏もしくは冬の合宿を訪れるしかない。
筆者は昨夏のバイエルンのイタリア合宿を取材し、Number835号「ドイツの時代がやってくる!」とNumber837号「時代を動かす5人の戦術家」でグアルディオラの練習メニューを紹介した。
午前は公開されるものの、たいてい午後は非公開になったが、裏山の古城から望遠鏡で見ることができた。そういう隙があるのも合宿のいいところである。
だが、今年1月のバイエルンのドバイ合宿には、ミラノに優先すべき取材があったため、行くことはできなかった。そこで今回は、現地に飛んだバイエルン番のアレクシス・メヌーゲ記者にスカウティングレポートをお願いした。その一部を、ここで紹介したい。
まず個人的に印象に残ったのが「DFを置かない」メニューだ。
GKとフィールドプレイヤー6人を1チームとした7対7のゲーム。ピッチサイズはペナルティボックスからペナルティボックスで、時間は10分×2本。タッチ数は2回までである。
すでに触れたように、ここにDFは1人もいない(DFたちは別のピッチでセットプレーの守備の練習)。布陣を書けば、
FW FW FW
MF MF MF
GK
という感じだ。