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大卒即海外という選択は、
Jの変革を促せるか。
~長澤和輝、ケルン入団の理由~ 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

PROFILE

photograph byAFLO

posted2014/02/05 06:15

1月にドイツに渡った長澤は、内田篤人が所属するシャルケとの親善試合に途中出場した。

1月にドイツに渡った長澤は、内田篤人が所属するシャルケとの親善試合に途中出場した。

 Jクラブへの選手供給源として、近年は大学の存在価値が高まる一方だ。クラブ側とすれば、育成組織からのトップ昇格を含めた高卒選手よりも、大卒選手のほうが即戦力として計算できるからなのだが、選手側から見ても、大学を経由することのメリットは大きい。

 高卒でJリーグ入りしても、なかなか出場機会は得られない。ならば大学へ進んで実戦経験を重ねるほうが、自身の成長のためにも賢い選択というわけだ。

 しかし、選手がJリーグの先に海外移籍を望む場合、大学で4年間を過ごすことは必ずしも得策ではない。少し前まで、私はそう考えていた。

 一般的に言われる海外移籍のリミットは24歳が目安。ところが大卒の場合、プロ入りの年で23歳になってしまう。1年目から活躍し、2年目には日本代表に選ばれ……と、かなり順調にことが進まない限り、相応の実績を作るのは難しい。明治大出身の長友佑都にしても、卒業を待たずに3年時でFC東京入りを決断したからこそ、今があるのだ、と。

Jクラブは今後“格安の即戦力”を奪われる可能性が。

 ところが、だ。専修大4年の長澤和輝が、ブンデスリーガ2部のケルン入りを決めた。その年の目玉となる大卒選手がJリーグを経ずに海を渡る、異例の“海外移籍”である。

 こうしたケースが起こりうるとなると、話は違ってくる。いずれ海外へ渡るために、まずはJクラブへというステップは必要なくなってしまうのだ。長澤の活躍次第で、日本のサッカーはさらに海外での評価を高める。選手にとっては選択の幅が広がるのだから、悪い話ではない。

 ただし、大学依存が進むJクラブにとっては、頭痛のタネになりかねない。

 そもそもJリーグには新人選手の年俸上限を定める、不可思議な規約がある。だからこそ大学サッカーは、Jクラブが格安で即戦力を獲得できる魅力的な市場となりえた。だが、「大卒即海外」のルートが確立されるとなれば、Jクラブは海外クラブとの競争にさらされる。当然、国内ルールの規約が海外クラブに適用されるはずもなく、今までのように甘い汁を吸うことは難しくなる。

 数あるJクラブからの誘いを蹴り、大学ナンバーワンMFが下した決断。それは今後、様々な慣例を変える大きなきっかけになるかもしれない。

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