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米国内で過熱する田中将大の高評価。
前例から考える、1年目の成績は? 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byNaoya Sanuki

posted2013/12/31 08:01

米国内で過熱する田中将大の高評価。前例から考える、1年目の成績は?<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

WBCでは実力を発揮できなかった田中だが、この挫折を糧に2013年シーズンは快進撃を見せた。WBCでは苦しんだメジャー球を、今度こそ克服してほしい。

ダルも、黒田も苦しんだメジャー1年目。

 しかも、WBCで経験した(それもすべて西海岸の球場ばかり)以外にメジャーの球場では投げたことがなく、無論中4~5日間隔で6カ月間を投げ抜いた経験もないのだ。

 あのダルビッシュ有投手ですら1年目は登板間の調整に苦労しながら29試合の登板で191.1投球回数に留まっている。さらに、メジャーでは確固たる地位を築き上げた黒田博樹投手も1年目は31試合に登板しながら、投球回数は183.1となっている。

 これまで多くの日本人先発投手がいる中で、1年目から主力先発投手として30試合先発登板、200投球回数をクリアしたのは松坂ただ一人。

 それくらいMLBとNPBの野球環境は違うということを忘れてはならない。

必要なのはメジャーに慣れるための時間。

 これまで現場で日本人メジャー選手たちを見てきて、メディアの評価通り、もしくはそれ以上のデビュー・シーズンを飾れたのはイチロー選手しかいなかったのではと感じている。

 このコラムでも何度か繰り返しているが、メジャーですら特別な存在であるイチローのような選手が、今後もそう簡単に日本球界から登場するとは思えない。つまり通常の選手なら、やはりメジャーという環境に慣れる時間、期間が必要となる。

 黒田、松井(秀)だけでなく、上原浩治投手、長谷川滋利投手、田口壮選手らも1年目のシーズンはともかくメジャーで経験を積み、慣れながら、徐々にその存在感を示してきた。

 田中のメジャー挑戦を楽しみにしているのは理解できる。だからといって明確な根拠もないまま過剰な報道、評価を続けることは逆に選手を苦しめることになりかねない。

 今シーズンは田中の話題が次々に取り上げられることになるだろう。盛り上がるのは仕方がないこととはいえ、時には“冷静な目”も必要になってくるのではないだろうか。

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田中将大
東北楽天ゴールデンイーグルス

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