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リハビリ中の藤川球児が
思い描く復帰へのプラン。
~トミー・ジョン手術後は焦らずに~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/12/09 06:00

リハビリ中の藤川球児が思い描く復帰へのプラン。~トミー・ジョン手術後は焦らずに~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 行く末がぼやけていても、カブス藤川球児は柔らかな表情で、厳しいはずのリハビリを繰り返していた。6月11日に「トミー・ジョン」と言われる右肘の腱再建手術を受けて以来、キャンプ施設のある米アリゾナ州メサで、孤独なトレーニングを続けている。すでにキャッチボールを再開し、徐々に距離を伸ばすなど、順調な回復を見せてきた。

「怖さはないです。新しい靱帯が入っているんですが、肘のなじむ感じはありますしね。暗くなる必要はないですよ」

 現時点で、復帰時期は具体的に定めていない。他の手術経験者の例からすれば、1年後の来年6月前後が目安となる。それでも、「遅れることはあっても、早めることはしない」と、ペースを上げることには慎重な姿勢を崩さない。もちろん、不安はある。だが、「戻れないことへの不安は自分との戦い」と、サラリと言う。その裏には、メジャーで戦えるという確たる自信があるからだった。

「赤ちゃんを育てるようなものです、全治10カ月の」

 メジャー1年目の今季、藤川は快調に滑り出した。4月1日の開幕戦では、わずか2球で初セーブを挙げ、その直後にはクローザーを任されるようになった。だが、右前腕部の張りで故障者リスト入り。1カ月足らずで復帰したものの、再び右肘の異常を訴え、結局、今季絶望となる大手術を受けることになった。

 わずか12試合の登板に終わったが、その間に藤川は、メジャーへの順応テストを終えていた。硬いマウンドに対応するため、歩幅を狭め、プレートにかける右足の位置を三塁側から真ん中付近へ変えた。阪神時代、ややクロス気味にステップしていたフォームでは、右打者の外角へ投げる際に、これまで以上に下半身への負担が大きいことに気付いたからだった。現在は、毎日、練習後に日記を書き込むなど、投球フォームや状態の確認は怠らない。年末年始もほぼ無休でリハビリを続ける予定で、他の選手のような「オフ」の感覚はない。

「野球と向き合えているのはここだなって感じましたね。だから、後ろのことはほとんど見ないですね。赤ちゃんを育てるようなものです、全治10カ月の」

 苦しく、辛いはずのリハビリを、自分に必要な時間として捉えるプラス思考がある限り、藤川はしっかりとした足取りで、マウンドに戻ってくるに違いない。

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