プロ野球亭日乗BACK NUMBER
田澤純一は日本代表に呼べるのか?
悪しき“ルール”と現実のギャップ。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byAFLO
posted2013/10/26 08:03
日本球界を経ずにアメリカに渡って5年、レッドソックスのセットアッパーとしての地位を築いた田澤。今季は自身初のワールドシリーズ出場も果たした。
日本シリーズの陰で静かに進んでいるのが、11月8日から台湾で行なわれる親善試合に向けた日本代表の選手選考である。
元ソフトバンクの小久保裕紀監督が就任し、その初陣となる台湾代表との試合は、2017年に予定されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)をにらんだ戦いのスタートとなる。そこで代表チームも26歳以下の若手を中心に編成。阪神・藤浪晋太郎投手、巨人・菅野智之投手、ヤクルト・小川泰弘投手らのルーキーやアマチュア選手の名前も候補として挙がり、4年後のベスト布陣を念頭に置いた選手構成となる。
また主将にはオーバーエージ枠として28歳の楽天・嶋基宏捕手を選任。次回以降の代表選考で選手の入れ替わりは大いにあるだろうが、おそらく嶋に関してだけはケガなどがない限り常に代表入りし、チームのまとめ役として、小久保監督を支えることになるはずである。
WBC連覇に貢献した、メジャーリーガーたちの力。
この小久保ジャパンの使命は、4年後に最強チームを作って、第4回WBCで世界一の座を奪回するという一点にある。
そのために過去3大会の経験から、まず一番の障害となってきた監督問題を真っ先にクリアした。監督経験はおろか、指導者としての経験もまったくない小久保監督の選任には少なからず疑問を残すが、それでもこうして4年後を見据えた長期的視点で代表チームがスタートしたことは、評価すべき点といえるだろう。
ただ同時にもう一つ、日本球界が正面から見据えなければならない問題がある。
それはメジャーリーグで活躍する日本人選手たちを、'14年のWBCでどう代表チームに取り込んでいくのか、ということだ。
連覇した第1、2回大会は、イチロー外野手(ニューヨーク・ヤンキース)をはじめとするメジャーリーガーの力に負うところが大きかった。そして3連覇を逃した第3回大会では、ダルビッシュ有投手(テキサス・レンジャーズ)や青木宣親外野手(ミルウォーキー・ブルワーズ)ら日本人大リーガーたちがこぞって不参加だった点が、敗因の一つに数えられるはずである。