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ストーブリーグの主役、
GM稼業の実態とは。
~ヤンキース、キャッシュマンの場合~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2010/12/10 06:00

ストーブリーグの主役、GM稼業の実態とは。~ヤンキース、キャッシュマンの場合~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 街中に早くもクリスマスソングが流れ始めた米国では、ストーブリーグの動きが慌ただしくなってきた。この時期、プライベートな時間を優先する選手をよそに、各球団のGMは、年間でもっとも多忙かつユーウツな日々を過ごす。

 1998年、30歳の若さでヤンキースのGMとなったブライアン・キャッシュマンは、過去数年来、常にオフの主役を務めてきた。潤沢な資金力をバックに、ロドリゲス、サバシアら大物選手と次々に大型契約を締結。その一方で、大金を投資しながら期待外れに終わった選手も数多く、メディアやファンからだけでなく、オーナーの故スタインブレナーから強烈に批判されることも珍しくなかった。ハイリスク・ハイリターンの両面を抱えるヤンキースの首脳にとって、オフ戦略の成否は生命線で、一日たりとも気が休まる日はない。

「ヤンキースのGMに、クリスマスはないんだよ」。かつてキャッシュマンが残した言葉は、今もなお、本気ともジョークとも受け取られている。

来春のキャンプインまで続く、タフネゴシエーション。

 球団トップの肩書きを持ちながらも、GMの職業は決して安泰ではない。レッドソックスのセオ・エプスタインは、'05年に一度退団し、その後、復帰した。「この仕事は全身全霊を傾けないとできない」。プロ並みと言われるロックバンド活動を休止し、再出発への覚悟を語った。'95年から15年間パドレスのGMを務めたケビン・タワーズは、今オフ、ダイヤモンドバックスのGMとして表舞台に復帰した。もっとも、解雇後に他球団のスカウトなどを転々とする元GMも少なくなく、いかに敏腕GMでも、常に職を失う危機感と背中合わせである現実は変えようがない。

 だからこそ、交渉は常にシビアになる。ポスティング申請をした岩隈久志との交渉権を落札したアスレチックスのビリー・ビーンは、わずか一度の交渉で打ち切った。獲得への真剣度は現在も不明だが、そこに「情」は存在しない。11月中旬のGM会議後、飛行機のエコノミー席で地元へ戻ったGMもいるほどで、取り巻く環境は厳しい。キャッシュマンにしても、チームの宝、デレク・ジーターとの残留交渉では厳しい姿勢を強いられた。

 来春のキャンプインまで、タフなネゴシエーションは終わらない。

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