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<アリゴ・サッキに聞く日本代表指揮官> ザッケローニにまつわる7つの謎。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/09/24 06:02

<アリゴ・サッキに聞く日本代表指揮官> ザッケローニにまつわる7つの謎。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama
イタリア流ゾーンプレスの神髄を叩き込まれている最中の日本代表。
しかし、コンフェデ杯の大量失点などで守備のもろさが指摘されている。
指揮官の戦術は浸透しているのか。もとより彼の思惑はどこにあるのか――。
7つの疑問をザックの友人であり、プレッシングサッカーの創始者にぶつけた。

 本田圭佑の言葉に、ザックの流儀が凝縮されていた。グアテマラ戦後のミックスゾーンで本田は、フフッと口元を緩めてこう言った。

「監督の練習は戦術練習が多くて、守備の意識を本能的にさせようと監督が企んでいるのかなと。悪く言えば、くどいくらいにしているので、イタリアってこんなんなのかなぁと想像しながらやってます」

 本田の言葉からも読み取れるように、アルベルト・ザッケローニ監督の練習は、とにかく細かい。9月上旬の日本代表合宿でも、ザックの力強い言葉がピッチに響き渡った。

日本代表合宿で叩き込む、イタリア流守備の鉄則。

「まだボールが中央にあるのに、体を外に向けるのが早すぎる!」

「『ライン!』と叫んだら、相手FWから1メートル後ろにDFラインを作ろう」

アリゴ・サッキ Arrigo Sacchi
1946年4月1日、イタリア生まれ。プロサッカー選手のキャリアを持たず、独学でコーチングを学ぶ。グランデ・ミランを率い、CL2連覇を達成した最後の監督。'91年からはイタリア代表監督も務めた。

 イタリア流ゾーンプレスを実行するために、守備の鉄則を叩き込んでいたのだ。

 ただし、ザックはこの守備法の創始者ではない。これらの概念や練習法を“発明”したのが、'89年からACミランを2年連続で欧州王者に導いたアリゴ・サッキだ。

 プロ選手経験がないサッキは戦術眼を武器にアマチュアから這い上がり、パルマを2部に昇格させたことで注目の監督に。ミランに引き抜かれると、ゾーンプレスと呼ばれる新守備法で世界中に衝撃を与えた。近代サッカーの守備理論は、ほぼすべてサッキが考え出したものと言っても過言ではない。

 ザック自身も'10年12月のNumberのインタビューで「サッキの守備法から多くのことを学んだ。彼は私の友人で、イタリアの自宅も10kmしか離れてない」と語った。

 イタリアが誇るゾーンプレスの創始者に、「ザックをめぐる7つの謎」をぶつけた。

◆ Q1.ザッケローニは優れた指揮官なのか? ◆

 ザックのキャリアを振り返ると、いくつもの名門の名が登場する。'98年にウディネーゼを3位に躍進させたのを皮切りに、翌年にミランで優勝。その後ラツィオ、インテル、トリノ、ユベントスを渡り歩いた。プロ選手経験がない無名監督が、ビッグクラブの指揮官を歴任したのだから大栄達と言える。

 だがミランを率いた後は、すべてのクラブを1年以内に去っており、決して順調だったわけではない。ザックが最も輝いていたのはいつだったのか。

【次ページ】 ウディネーゼこそ、彼が果たした最高の成果だ。

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