SCORE CARDBACK NUMBER

ライコネンが魅せる追撃レースの真髄。
~ベッテルも警戒する安定した速さ~ 

text by

今宮純

今宮純Jun Imamiya

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2013/07/26 06:00

優勝争いをしたライコネン(左)とベッテル。来季からチーム内でライバルになる可能性も。

優勝争いをしたライコネン(左)とベッテル。来季からチーム内でライバルになる可能性も。

 快晴となったニュルブルクリンクでの第9戦ドイツGP。母国初勝利を成し遂げたS・ベッテルを苦しめたのはK・ライコネンだった。最終コーナーでラストスパートをかけ、0.601秒差にまで迫る激闘を繰り広げた。

「あと2周あったら抜かれていた」。ベッテルがそう振り返るほどライコネンの追撃は鋭く、終盤のレースペースでレッドブルを凌駕。イギリスGPで起こったタイヤバースト・トラブル多発を受け、ピレリが急遽新スペックに変更したレースだったが、ライコネンのスムーズなドライビングに全く変わりはなかった。

 しかし、今季9戦で4度目となる2位にライコネンはぼやいた。「3位よりはいいけど、勝てないレースにはもう飽きた」。勝利を目前にしてまたも及ばなかった彼の率直なコメントだ。ロングランでは安定しているものの、予選アタックでマシンに速さが無く、結果、後方グリッドから自力で順位をあげていくレースが多い。今季PPは一度もなく、開幕戦の優勝も予選7番手から最速ラップをマークするという、ライコネン流の追撃レースの真髄がはっきり見てとれた。

連続入賞最多記録を伸ばしたライコネンは来季レッドブルに?

 ドイツGPでは連続入賞最多記録をさらに26戦に伸ばした。マシンやタイヤにストレスをかけずにミスなく限界を極めるスキルが、この記録更新につながっている。A・プロストもA・セナも10戦以上の連続入賞はない。

 ランキングこそ3位だが、現時点でのベスト・ドライバーと言っていいだろう。ロータスE21のポテンシャルは、レッドブルRB9やフェラーリF138よりも劣り、メルセデスW04にもやや及ばない。しかしそれをコース上で補うドライビングが光る。ベッテルも警戒する安定した速さ、F・アロンソも認める一貫した強さで、ライコネンは後半戦をより面白くする“'13年夏の主役”である。

 そのライコネンには、M・ウェバーの来季引退によって、レッドブル・チームから好条件での移籍オファーが来ている。コース上でベッテルと争いながら、レッドブルとコース外で交渉レースに応じているのだ。もちろんロータス側はエース引き留めに懸命だが、本人は「じっくり考えさせてくれ」とあくまでもクール。'14年ストーブリーグ動向でも主役の座にいるライコネンから目が離せない。

関連コラム

ページトップ