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<全米オープンで得た自信> 松山英樹 「いつかメジャーで勝てる日が来る」 

text by

柳川悠二

柳川悠二Yuji Yanagawa

PROFILE

photograph byTaku Miyamoto

posted2013/06/27 06:01

世界で最も難しいと言われる全米OPのコース。
そのメジャーという大舞台で、今季プロに転向し、
国内で快進撃を続ける21歳が底力を見せつけた。
大きな可能性を持つ男が抱く、さらなる野望とは――。

 トップと11打差の39位タイにまで後退した全米オープン3日目。松山英樹は、大観衆から喝采を浴びる最終組を羨望の目で見つめていた。

「メジャーの優勝経験者やアメリカで人気のある選手は応援のされ方がすごい。自分も早くそういう立場になりたい」

 2011年のマスターズでローアマ(最優秀アマチュア選手)に輝き、今季満を持してプロに転向した松山といえども、アメリカでは無名の若手ゴルファーに過ぎない。予選通過こそ果たしたものの、通算10オーバーで回っているゴルファーに送られる声援は、最終組のそれと比ぶべくもなかった。

 初日がサスペンデッドとなり、2日目はサンダーストームに見舞われながら29ホールを回った。ハードスケジュールを強いられる中、メジャー制覇を目論む松山にとって世界との差を痛感するばかりの3日間だった。

「(最終組を戦っていた)フィル・ミケルソンやルーク・ドナルドは、パッティングの距離感が絶妙で、自分みたいに2、3mオーバーしたり、ショートしたりすることがない。彼らのようなゴルフをしないと、メジャーでは上位で戦えないし、いつまでも勝てないでしょうね」

いつか優勝争いの輪に加わりたいか、という問いかけに……。

 落胆の色を隠せない松山に「いつかあの輪に加わりたいか」と問いかけると、ムキになってこう返答した。

「そりゃそうでしょ。思っていなかったらこんなところには来ていません」

 最後は「情けない……」と舌打ちし、報道陣と距離を置くかのように練習場に向かっていった。

 松山は今季の日本男子ツアー5戦で、高次安定した成績を残している。2度の優勝と2度の2位、そして10位が1度で、賞金ランキングはトップを独走中だ。

 しかし、日本男子ツアーで何勝しようとも、新人選手として初めての賞金王獲得の期待が高まろうとも、本人は意に介さない。

 プロ転向後初優勝を飾って、スピーチで「何を話せば良いか分かりません……」と戸惑うぐらいに、松山は無欲で、目先の勝利に執着することがない。

 それゆえ松山ほど記者泣かせのトップゴルファーもいまい。

<次ページへ続く>

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