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岡田ジャパンより進化していた!!
パラグアイ戦に見る次世代スタイル。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byNaoya Sanuki

posted2010/09/06 11:50

岡田ジャパンより進化していた!!パラグアイ戦に見る次世代スタイル。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

 就労ビザ取得が間に合わず、スタンドから観戦した新監督のアルベルト・ザッケローニは「選手は素晴らしい動きだった。前の監督がいい仕事をしてくれているので、自分としてはもう少し状況を見ていきたい」とパラグアイ戦の勝利を喜んだ。

「いい仕事」と言ったのは決してお世辞ではないだろう。

 W杯を経験した岡田ジャパンの戦いのエッセンスを垣間見ることができた。W杯を終えての初めての試合であるし、新監督が直接指揮を執るわけでもないので“安パイなプレー”が多いのではないか、と筆者は勝手に想像していた。しかし、ピッチ上では1対1で勝負する場面がかなり多く、球際で激しくいくプレーが目立った。

 代表に復帰した槙野智章も「練習のひとつをとっても(香川)真司や(長友)佑都、ウッチー(内田)なんかは球際のところですごく戦っている」と目を丸くしたほど。これも南アフリカの地でカメルーン、オランダ、デンマークといったフィジカルの強い相手と十分に張り合えたことが個々の自信につながっていると言える。

 世界と戦ったことでの変化を挙げるならもうひとつ。きれいに崩すことへのこだわりよりも、ゴールに速く向かう意識のほうが強くなったとも感じた。

 香川のゴールシーンも、まさにそうだった。

チーム全体として自然に縦を狙う意識が浸透していた!

 横パスでつないでおいてペナルティーエリア近くまで上がってきた中村憲剛が縦にパスを出し、裏に抜け出した香川がゴール右隅に決めた。チーム全体として縦を狙う意識を持っていたからこそ、イメージを共有できたのだ。試合の4日前に来日して準備してきたパラグアイではあったが、日本の蒸し暑さのせいで動きとしては今ひとつだった。それでも持ち前の守備はさすがに堅かった。その堅守で鳴るパラグアイからゴールを奪ったのだから、ザッケローニに笑みが広がるのも当然ではある。

 マークが甘くなってパラグアイの攻撃時間が長くなってしまったことなど、反省点が残る試合ではあった。とはいえ、W杯で見せた日本の良さをチームとしてしっかり意識していることが分かっただけでも、収穫の多い試合だった。

香川の良さだけでなく、長友の急成長ぶりに驚かされた。

 筆者から見て光った選手でいえば、決勝点を挙げた香川はもちろんだが、セリエAのチェゼーナに移籍した長友佑都はさらにパワーアップしている印象を持った。

 W杯で力を振り絞ってくると疲労の蓄積などでどうしてもパフォーマンスが落ちてしまいがちだが、この長友は違った。守備における1対1の強さやしぶとさに磨きをかけていただけでなく、攻撃力にも明らかな上積みがあった。

 以前はゴール前にいる選手と呼吸の合わないクロスを送ることも多かったが、この日の左足のクロスは鋭く、正確。そのうえ飛び込む選手との呼吸を強く意識していた。

【次ページ】 長友がセリエAで学んだメンタルコントロールとは?

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