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“モウリーニョの亡霊”を
ベニテスは振り払えるか? 

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2010/08/23 10:30

“モウリーニョの亡霊”をベニテスは振り払えるか?<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

新監督就任会見時のラファエル・ベニテス。インテルでのタイトル獲得に意欲を見せた

 屈指の完成度によって欧州チャンピオンズリーグを含む3冠を達成し、イタリアサッカー史上に残る名チームとなったインテル。稀代の指揮官モウリーニョの跡を継ぎ、インテル第58代監督の座に就いたのはラファエル・ベニテス(前リバプール)だった。欧州中から狙われる立場となる新シーズン、彼とインテルは何を目標とするのか。

 ベニテスはプレシーズンキャンプ中から、“6冠”を念頭に置いた発言を繰り返してきた。昨季の3冠に加えて、今月下旬に控えるイタリア・スーパーカップ(21日、対ローマ)と、UEFAスーパーカップ(27日、対アトレティコ・マドリー)の2タイトル、そして年末のクラブW杯を加えた“年間タイトル完全制覇”。つまりは、'09年にバルセロナが成し遂げた偉業の再現だ。ベニテスは就任会見で快活に話した。

「絶頂期にあり、ほぼ完璧なシーズンを送ったチームをさらに進化させることはやさしいことではないが、私はそれに挑む」

 リバプール時代、彼が推し進めたチーム革命は“ラファリューション”と呼ばれ、'05年のCL制覇という形で結実した。「昨季(インテルで)成功した4-2-3-1は私も過去に使ったことがある。すべてを変えることが賢明だとは思わない」と言うベニテスは、インテルを彼流のやり方で自分色に染め直そうとしている。

“モウリーニョの亡霊”が早くもベニテスに口撃を始めた。

 しかし、彼の前に立ちはだかるのは“亡霊”とでも言うべき前任者の影だ。

「確実に、確実に、確実に、私がやった以上のことをベニテスができるわけがない。不可能だ」

 今なお選手たちやサポーターにとって絶大なカリスマであるモウリーニョ(現レアル・マドリー監督)は、CLでの対戦を見越し、英国メディアを通じて挑発を開始した。「クラブW杯は2試合勝てば手に入る。年末のクラブW杯でインテルが優勝できたなら、それは私のタイトルだ。ベニテスの勝利ではない」とまで“口撃”を強めた。

 また、移籍に関しても、3冠の大きな原動力となったブラジル代表SBマイコンには、モウリーニョを慕ってレアルへ追従するのではないか、という噂がまことしやかに囁かれた。さらにFWエトーは「もう昨季のようにサイドではプレーしたくない」と起用法に不満を訴えた。

 有形無形となって現れる“モウリーニョの亡霊”は、今後もついてまわる重石だろう。ただベニテスは、外からの挑発には距離を置き、チーム内部の問題には対話によって選手たちと向き合うことで、ひとつずつ解決しようとしている。マイコンには「チームにとって最重要選手のひとり」という言葉を投げかけ、主将サネッティの説得も受けたマイコンは、移籍を思いとどまった。

【次ページ】 戦力補強には口出しせず、イタリアの流儀に対応。

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