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王者チェルシー連覇の鍵、
中盤の“バイソン”を見よ! 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2010/08/19 10:30

王者チェルシー連覇の鍵、中盤の“バイソン”を見よ!<Number Web> photograph by AFLO

驚異的なスタミナを誇るエッシェン。守備に走り回るだけでなく、破壊力抜群のミドルシュートで攻撃にも貢献する

 8月14日、プレミアリーグの2010/11シーズンが始まった。開幕日にイングランド全土を包む高揚感は何度味わっても格別だ。この日ばかりは、全20チームが希望を胸に1日を迎えることができるのだから。

 今季の火蓋を切ったのはトットナム対マンチェスター・シティ。昨季の4位を争った両軍は、共に優勝争いへの参戦を目論んでいる。試合は0-0に終わった。シーズン終盤の来年4月に予定されているリターンマッチで同じ結果に終われば、「勝ち点2ポイントを落とした」と嘆くことになるだろう。だが、開幕戦での傷み分けは「1ポイント獲得で上々のスタート」と解釈できる。

 2部からプレーオフ経由で昇格したブラックプールは、ウィガンを4-0で下す番狂わせを演じた。ブラックプールは、巷で降格候補の最右翼と目されている。それが、一時的とはいえ初体験のプレミアで首位に立てたのだから、サポーターたちが「トップ・オブ・ザ・リーグ!」と狂喜乱舞したのも無理はない。

6-0でウェストブロムを撃破! 昨季王者は好発進。

 開幕日ならではの楽観は昨季王者にも当てはまる。ウェストブロムをホームに迎えたチェルシーは、ディディエ・ドログバのハットトリック、フローラン・マルダの2得点、そしてフランク・ランパードのゴールで、昇格組を6-0と粉砕した。スタンドからは「ボーリング(退屈な)チェルシー」と、かつての悪評を逆手にとった自慢気なチャントが沸き起こり、スタジアムのMCも「(昨季最終節から)2試合連続の大量得点で合計14点!」と観衆を煽った。

 チェルシーが奪った6点のうち3点がセットプレーによるものであることを考えれば、やや出来すぎの最終スコアだと言える。だが、チームはブラックプールを「2時間天下」に終わらせてのリーグ首位、エースのドログバは得点王ランク1位として初戦を終えたとなれば、良いこと尽くしの白星発進だ。ファンの記憶からは、開幕前週のコミュニティー・シールドを含む4連敗に終わった、プレシーズンでの低調ぶりが一気に掻き消された。

 筆者もファン同様、試合前日までの“不安”を“希望”に変えてスタジアムを後にした口だ。メディアではチェルシーの優勝を予想する声が強かったが、移籍市場での控えめな様子を眺めていると、今季は1ポイント差で優勝した昨季よりもさらに厳しくなると予想せざるを得なかった。

 チームの原動力である中盤からは、ジョー・コール、ミヒャエル・バラック、デコ、ジュリアーノ・ベレッチ(SBと兼任)の4名が抜けた。いずれも、昨季の先発レギュラーではなかったが一線級の戦力だ。にもかかわらず、開幕前の補強はヨッシ・ベナユンとラミレスの2名だけだった。

【次ページ】 “バイソン”ことエッシェンの完全復活がもたらす衝撃。

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