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政治家・谷亮子に
ロンドン五輪はあるか。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byKYODO

posted2010/08/04 06:00

当選した谷亮子だが柔道家としては厳しい現実に直面する

当選した谷亮子だが柔道家としては厳しい現実に直面する

 これでロンドン五輪出場はなくなった。

 7月11日、参議院議員選挙で当選が確実になった谷亮子の姿に、ふとそんな言葉が浮かんだ。

 谷は今回の立候補表明時に、「ロンドン五輪の金メダルも目指す」と語った。それに対して批判的な声も相次いだが、両立を目指すのは本人の自由であって、そこに是非はない。むしろ周囲の姿勢や判断が問われる事柄である。

 とはいえ、当選したことで、国際大会で活躍するトップの柔道家としての人生は実質的に終わりを告げることになったのではないか。

 そもそも、二足のわらじを可能にするのは何か。簡単に言えば、それぞれの分野で抜きん出た力を持つ、地位にいることである。だが谷は、政治のほうはさておき、柔道でもすでにそうした地位にいないのだ。それを知るために、北京五輪日本代表に選ばれるまでを振り返ってみたい。

ランキング制の導入で厳しくなった谷の立場。

 '07年春、谷は全日本選抜体重別選手権で約2年の休養から復帰した。決勝で福見友子に敗れたが、「海外で勝てるのは谷亮子しかいない」との理由で、波紋を呼びながらも同年の世界選手権代表に選出。翌年の全日本選抜体重別決勝でも山岸絵美に敗れながら北京五輪代表に選ばれ、銅メダルにとどまった。

 当時と大きく異なるのは、ランキング制が導入されたことだ。国際大会で成績を積み上げ、2012年5月1日付けで世界ランク14位以内にいなければオリンピックに出場する資格はなくなる。国内の選考大会だけ出ればいいわけではなく、休養が許されないシステムである。

 なによりも、「国際大会で勝てるのは谷だけだ」という幻想が消えている。日本は、昨年の世界選手権で金メダルを獲得した世界ランク1位の福見友子や3位の山岸絵美らが国際大会で結果を出し続けている。今年、世界4都市で行なわれるグランドスラムの3つの大会がすでに終了したが、5月のリオデジャネイロは福見、2月のパリ、7月のモスクワでは山岸が優勝と、双方、世界のトップにいることをあらためて示した。仮に谷が14位以内に入るという条件をクリアしても、ポイントを重ね続ける福見らを上回ることは至難だ。

<次ページへ続く>

【次ページ】 「皆さんのオリンピックへの期待が私を動かしています」

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