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春夏連覇を狙う興南、
島袋は松坂になれるか。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byTamon Matsuzono

posted2010/08/02 06:00

春夏連覇を狙う興南、島袋は松坂になれるか。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

興南の島袋は沖縄大会決勝の糸満戦で10三振を奪う力投を見せ、3安打1失点で完投した

 全国に先駆け、夏の甲子園大会出場を決めた、沖縄・興南高校。チームの大黒柱は選抜優勝投手の左腕・島袋洋奨で、今夏の沖縄大会は全6試合中4試合に登板して、4勝0敗、防御率0.58という圧倒的な成績を収めた。

 興南・島袋が狙うのは史上6校目となる春夏連覇。この偉業を直近で成し遂げたのが'98年の横浜・松坂大輔である。松坂の'98年夏の東神奈川大会と、島袋の沖縄大会の歩みはよく似ている。

近年は複数の好投手を擁するチームが有利。

 地方大会6試合中、9回完投したのが2試合(うち完封1試合)、先発して5回を投げたのが1試合、リリーフしたのが1試合、そして登板しなかったのが2試合である。これほどプロセスが似ていると、'98年の横浜・松坂のように、興南も絶対的なエース一人の力で頂点まで突っ走るつもりかと、早合点したくなる。

 だが、近年は複数の好投手を擁するチームの方が有利なようだ。最近10年では、'02年明徳義塾、'06年早稲田実、'08年大阪桐蔭以外の7校(2連覇の駒大苫小牧含む)が、複数投手起用で優勝している。

 興南が選抜後の九州大会で、島袋を短いイニング以外は温存し、砂川大樹、川満昂弥を多く起用したのは、我喜屋優監督が2番手以下の充実がなければ夏の制覇はないと考えたからに他ならない。横浜に話を戻せば、監督に一人エースで乗り切らせる覚悟をさせた松坂は、それだけ大きな存在だったということである。

俊足揃いではないが、鈍足選手もいない興南打線。

 興南の打線はどうだろう。「呼び込んで逆方向」がチームの大方針で、短打をつらねて塁上を所狭しと駆け回る野球こそが、興南の真骨頂と言っていい。

 こう書くと、俊足揃いのチームだと勘違いされそうだが、2番の慶田城(けだしろ)開以外はそれほどではない。たとえば、九州大会1回戦の福岡工戦で、俊足の目安「打者走者の一塁到達4.29秒未満、二塁到達8.29秒未満、三塁到達12.29秒未満」を記録した選手は1人もいなかった。福岡工には2人もいたのに、である。

 だが、一塁到達に5秒以上かかる鈍足選手もいない。各選手が限界まで能力を出し切る野球、興南の凄みはそういう部分から生まれてきていると言ってもいい。

 興南にとって鬼門は初戦だ。'09年春、夏は優勝候補の一角に挙げられながら初戦で敗退した。ここを乗り切れば、横浜以来となる春夏連覇も見えてくるだろう。

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