1stレグとは別人のように自由にプレーできたメッシ。

　ビジャが中央にいたことで、メクセスとサパタの2CBとミランの3MFの距離が開いた。そしてそれは、メッシのためのスペースを生むことになった。

　開始直後からメッシは気持ち良さそうにプレーした。セルヒオ・ブスケッツからのパスにメッシとシャビが中央のエリアで細かく繋ぐ。ゴール左上に綺麗に沈めたメッシの得点が決まったのは、前半5分のことだ。

　その後もバルサのリズムは止まらず、イニエスタのシュートがバーを叩くなど、サンシーロとは違って決定機を作り続けた。

　ビジャとメッシが中央を使うことに成功する一方で、サイドを支配したのはアウベスだ。

　ロウラはこの試合のもうひとつのポイントを、「ピッチを広く使うこと」だと振り返っている。

　この日のアウベスはサイドバックというよりも右ウイングのような位置取りをしていた。ミランの左サイドバックのコンスタンはアウベスと中央寄りのビジャのどちらを見るのか、難しい選択を迫られ続けた。

　アウベスはそんな右サイドを起点に、クロスとショートパスで崩していく。ミランの最終ラインを横に広げたことで、サンシーロで見たような密集したミラン守備陣は分散されることになった。

ニアンがゴールを決めていれば……バルサは敗退していた。

　この試合の行方を決めたのは、前半38分からの67秒間だ。

　モントリーボからのロングボールをマスチェラーノがクリアミスし、ボールは後方にこぼれる。ニアンがフリーで抜けビクトル・バルデスと1対1になった場面、彼は余裕を持ってシュートするもボールは左ポストを叩く。

　ミランのアッレグリ監督は試合後に「ニアンの決定機が決まっていれば、また別の試合になっていたことだろう」と語っている。

　事実、ここで1－1になっていれば、バルサはさらに3得点を決めなければならなくなったため、試合の趨勢は大きく変わったことだろう。

　そしてその直後、イニエスタが中盤でふたりの間を抜ける。パスを受けたメッシは右下に決め、試合は2－0に。

　前半の45分間でバルサは2試合での合計スコアを2－2とし、ミランとの対戦をふりだしに戻していた。

　バルサの3点目を決めたのはビジャだった。しかしその直前、素早い寄せからインターセプトをして攻撃につないだのは、この試合の前半で敗退に繋がりかねない大きなミスをしていたマスチェラーノだった。　

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