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走行妨害の新基準導入で
問われる裁決の説得力。
~JRA、その狙いと課題とは?~ 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byKiichi Yamamoto

posted2013/02/10 08:00

走行妨害の新基準導入で問われる裁決の説得力。~JRA、その狙いと課題とは?~<Number Web> photograph by Kiichi Yamamoto

 年明けからJRAの裁決基準が変更されている。

 昨年までは「走行妨害が被害馬の競走能力の発揮に重大な影響を与えたと裁決委員が判断した場合、加害馬は被害馬の後ろに降着」だったものが、新基準では「その走行妨害がなければ被害馬が加害馬に先着していた、と裁決委員が判断した場合、加害馬は被害馬の後ろに降着」となったのだ。

 文章だけではピンと来ないところがあり、1月に行なわれた現役調教師の免許更新のための個別面接でも、この点を理解しているかどうかの確認がなされたのだとか。緊急に理解する必要のない一般のファンにとっては、このお役所的な文言が頭の中に入ってきにくいのは当然ではある。

 ザックリ言えば「実際の入線順位をこれまで以上に重視した判定をする」とJRAは宣言しているのだ。

 例えば加害馬の動きが複数の馬に影響を与えていた場合、これまでなら被害を受けたと認定された馬のうち最も着順の悪い馬の後ろまで下げられていたのだが、新基準では裁決が「逆転があった」と判定した馬の後ろに下がるだけで済む。なるほどこれなら、結果的に加害馬の馬券を持つハメになったファンにとっても納得がいきやすいではないか。

いきなり運用に不手際があった先日のAJCC。

 悪くない改正なのだが、先日のAJCCでいきなり運用に不手際があった。

 ダノンバラードが直線で抜け出した際、内側に斜行し、勢いがよかったトランスワープが内ラチに押し込められるほどの不利。その直後にいた馬にも影響があった件だ。これを裁決委員はなぜか審議とせず、約10分後にトランスワープの調教師と騎手から降着のアピールがあり、それから行動を起こす事態となったのだ。審議の結果、着順に変更なしとなったが、それ自体は裁決委員の判断なのだから、現場と温度差があろうと仕方がない。

 しかし、あれだけハッキリした出来事を見逃したかのように見せてしまったのは、まさに「不手際」だったろう。

 加害馬が馬券に絡まない6着以下だったら審議ランプを点けない、というのもいい改正だが、レースが終わらないと審議に移れない分、裁決委員の能力がさらに問われることとなった。いっそのこと、米国のようにアピールがなければ審議とはしない制度がいいのかも。

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