SCORE CARDBACK NUMBER

低迷する四国勢復活のカギは
「全力疾走」にあり。
~甲子園成績最下位からの脱却を~ 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/07/06 06:00

低迷する四国勢復活のカギは「全力疾走」にあり。~甲子園成績最下位からの脱却を~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

昨年、春夏出場の西条はエースで4番の秋山を軸に攻守ともに鍛えられた好チームだった

 '09年春以降、四国勢の甲子園大会での成績は3勝9敗、勝率.250と、北海道から九州までの9地区中最下位である。「低迷、弱体化」と言われても仕方ない数字だが、過去10年間で見れば76勝64敗、勝率.543と上々である。

 四国出身の野球人は、古くは水原茂(高松商)、三原脩(高松)、景浦將、千葉茂(松山商)、中西太(高松一)など野球殿堂入りしている名選手から、現役では川上憲伸(徳島商)、藤川球児(高知商)、藤井秀悟(今治西)まで豪華な顔ぶれが並ぶ。なのになぜ、最近の四国の高校野球は低迷しているのだろうか。

 実は四国の弱体化については、以前から様々な媒体で予想してきた。その根拠は走塁に対する意識の低さにある。低迷が深刻化する'08年以前から、四国勢は明らかに全力疾走をしていなかった。

“全力疾走”の伝統はどこへいったのか?

 全力疾走を「打者走者の一塁到達4.29秒未満、二塁到達8.29秒未満、三塁到達12.29秒未満」に設定すると、'08年選抜以降の甲子園大会で四国勢が基準タイムをクリアしたのは、計測可能の20試合中32人(45回)。1試合平均、わずか1.6人(2.25回)である。

 対戦相手のタイムクリアは46人(68回)を数え、1試合に平均すると2.3人(3.4回)に達している。かつて“全力疾走”を率先して行なった土佐高ナインには気力がみなぎっていたが、その伝統はどこへいってしまったのか。

 低迷から脱却するためにも、全力疾走の姿勢を復活させてほしい。四国の野球を牽引する明徳義塾(高知)、今治西、済美(愛媛)などの強豪校が全力疾走を実践し、それを四国全土に広めていくというのが堅実なやり方だが、既に取り組んでいる学校もある。'09年に春夏連続出場した西条(愛媛)である。

西条は春と夏の間に“走る”野球に変えてきた!

 春に初戦で敗退した際、タイムクリア選手はPL学園の5人(6回)に対して0人。それが夏になると初戦の八千代東戦で4人(5回)がタイムクリアし、みごと3対2で勝ち上がった。この姿勢が広まっていくのかどうか注目してみたい。

 投手に目を移すと、今年は本格派が揃っている。済美の鈴木貴也、高岸宏行、英明(香川)の松本竜也、高松商の榎内和也など。彼らには四国の高校球界を覆っている重苦しい空気に風穴を開けるくらいの気持ちで、マウンドに立ってほしい。

■関連コラム► 興南を中心に強豪が揃う、沖縄勢の躍進の理由とは。 (10/06/19)
► 「野球王国」四国の残念な実態。四国から消えた「全力疾走」。 (09/06/06)

関連キーワード

ページトップ