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勝てなくなった関東勢が
豊富な才能を生む理由。
~ドラフトと甲子園の逆説~ 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/07/10 08:00

勝てなくなった関東勢が豊富な才能を生む理由。~ドラフトと甲子園の逆説~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

ドラフト候補の149km右腕、東海大相模の一二三はセンバツ初戦敗退の借りを返せるか

 '09年春以降の甲子園3大会で、四国勢に次いで勝率が低いのが関東勢だ。今春、日大三が準優勝して4勝をもたらしたが、15勝22敗と7つの借金がある。'09年の選抜は7校のうち5校が、選手権では9校のうち5校が初戦で敗退。地盤沈下と言われても仕方がない。

 有力選手が分散せず、1校に集中したほうが甲子園大会で勝てる――これは高校野球関係者の間でまことしやかに囁かれる言葉だが、その例としてしばしば取り上げられるのが千葉県である。

「銚子商、習志野の2強時代から群雄割拠になって甲子園で勝てなくなった」

 たしかに、千葉の甲子園春、夏の優勝、準優勝校を調べると、'00年夏の準優勝(東海大浦安)まで遡らなくてはならず、これは関東勢としては東京、埼玉、神奈川、茨城よりも遠い。

甲子園では勝てない千葉がドラフトでは他県を圧倒。

 ところが、ドラフトを通して見るとまったく違う世界が見えてくるから不思議だ。関東の球児はドラフト会議で近年、数多く指名されている。過去3年の各地方別の統計は次の通りである。

(1)関東25人、(2)九州19人、(3)東海12人、(4)近畿11人、(5)東北、北信越各7人、(7)中国5人、(8)四国4人、(9)北海道3人

 さらに関東25人の内訳は、千葉8人、神奈川6人、東京5人、埼玉3人と、甲子園で勝てない千葉が圧倒している。

 数少ない強豪校に有力選手が集中すれば、切磋琢磨を経て精神的にたくましい選手が生まれるが、同時に数多くの有望選手が埋もれていくことになる。そういう生存競争のありようが関東、あるいは千葉の高校野球から見えてくる。

東海大相模・一二三慎太、サイドスロー転向の成否は?

 さて、今年の関東勢も豊富なタレントを抱えている。真っ先に名前が挙がるのが超高校級右腕、一二三慎太(東海大相模)で、スポーツ紙をにぎわしたサイドスロー転向の成否がじきに明らかになる。

 塚原頌平(つくば秀英)、南貴樹(浦和学院)、伊藤拓郎(帝京2年)の快速球投手にも注目が集まり、野手では後藤駿太(前橋商・外野手)、三ツ俣大樹(修徳・遊撃手&投手)、山下斐紹(習志野・捕手)などがスカウト垂涎の的である。

 関東は全般的に人材が一極集中でなく分散傾向にあるので、個性豊かなタレントが育っている。下級生時代、マウンドに行って先輩投手の尻を叩いた山下などは個性派の典型と言えるかもしれない。

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